"約束"
―
……。
――
………。
―――
…………。
――――
……こえ……。
―――――
……声が……。
――――――
……声が聞こえる……。
―――――――
……あぁ……、なんてきれいで……。
――――――――
……なんて……美しい声なんだろう……。
―――――――・・・
……とても……美しくて……。
―――――・・・。
……とても……なつかしくて……。
―――・・ん。
……ずっとずっと、聞きたかった声だ……。
―――・ゃん。
……わたしは言えるだろうか、あのひとに、ずっと言いたかった言葉を……。
―――ちゃん。
……わたしは聞けるだろうか、あのひとから、ずっと聞きたかった言葉を……。
――イリスちゃん。
わたしはゆっくりと目を開ける。
まぶしくて、あまりよく見えない。
でも……、あぁ……。
もう一度逢うことができるなんて……。
少しずつ目が慣れてきて、大切なひとの、ずっとずっと逢いたかったひとの姿が見えてきた……。
あなたはいつも、笑顔でわたしを迎えてくださるのですね……。
今なら言えるだろうか……。
声はちゃんと届くだろうか……。
「おはよう、イリスちゃん」
満面の笑みで迎えてくれる、わたしの大切な女神様。
「……ポワルさま……」
「うん。イリスちゃん」
声にならないくらい小さな、本当に小さな音だった。
……それでも、あなたはちゃんと聞いてくださるのですね……。
……わたしがいちばん聞きたかった言葉を、わたしがいちばん好きな優しい微笑みで言ってくれる。
あぁ、本当に綺麗な女神様だなぁ……。
「おかえりなさい、イリスちゃん」
「ただいま、ポワル様」
- fin -