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この青く美しい空の下で  作者: しんた
第十三章 ごめんなさい
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登場人物紹介13

◇リオネス・シーグヴァルド

 現リシルア国王で十四年間無敗を貫く、獣王国最強の獅子人種(ししひとしゅ)の男性。

 長身のヴァンよりも更に二十センルほども高く、膨れ上がった筋肉を鎧のように纏った、絶対的な王者の風格を持つその姿はまさに威風堂々といった言葉が当てはまるが、非常に執念深く、一度敵と見定めると執拗に戦いを挑んでくる、とても厄介な人物。

 この男の視線に捉えられてしまっているロットとヴァンが、リシルアへと行きたがらない大きな要因のひとつとなっているが、実際には感情を抑えることを苦手としていて、非常に誤解されやすい人物であるとイリスは彼の性格を見抜いた。

 とてもそうは思えない言動の数々に、勘違いではないかと思えてしまう仲間達だったが、その後の彼の言動は落ち着きを取り戻しただけでなく、冷静さの中に紳士的な態度を併せ持つ対応でイリス達と接した。

 その見たことも聞いたこともない彼の姿に驚愕するイリスとネヴィア以外の者は、彼が偽者ではないだろうかと本気で思えたようだ。


 彼は戦うことそのものが好きなのではなく、純粋に強さを求めていた。

 そんなリオネスのことをイリスは"武を探求する者"と称し、彼を喜ばせる。


 勝負の行方に拘らない彼は、そんな彼女に勝負を挑むも、結果は完敗に終わる。

 あまりの負けっぷりに、彼女との力量があまりにも離れていることを感じ取った彼は、いっそ清々しくさえ思える負けを生まれて初めて経験したようだ。

 以降はリシルアへと戻り、イリスとの再戦を希望しながらも、自分に足りないものとイリスとの差を埋める努力を続けている。


 十四年間無敗の英雄が土をつけたことに国民は驚愕するも、それを隠すことなど一切せずに潔く負けを認め、鍛錬を続けると言葉にした彼の瞳に宿る光はとても澄み渡っていたという。



◇メルン・オリヴァー

 世界最高のミスリルランク冒険者として活躍した伝説の人物の一人で、レティシア達の友人。狐人種(きつねひとしゅ)金色(こんじき)の毛並みを持つ、とても美しい金狐(きんこ)族、最後のひとり。

 彼女の故郷である、現在ではルンドブラードと呼ばれた廃墟の中央に佇むスラウに、まるで護られるかのように置かれた石碑の中にいた人物で、寂れていた故郷が大都市と思われるほど発展したことに驚いたようだ。

 それほどまでに発展した街が衰退したことに悲しさを覚えるイリスではあったが、栄えた街なんてそんなもんだと、どこか楽しそうな表情で語った。


 レティシアやアルエナと同じように"想いの力"を持つ彼女は、レティシアの知識を託すだけではなく、彼女が研究をしていた魔物についての話やダンジョン、そして星の中心に何があるのかをイリスに伝えるつもりだったが、自力でその推察に到達した彼女に驚愕し、彼女の生きている時代に逢いたかったと心から思っていた。


 彼女は世界を旅する自由騎士(フリーランス)として活躍していたアルエナとは違い、生粋の研究者として過ごしていた。

 研究者と言えど負けず嫌いな彼女は、レティシア達の仲間の中ではアルトを除いて彼女の下となる強さを持っていたが、それでもレティシアとは遙かに差があったようだ。


 そんな彼女は仲間達を引き連れ、ある推論を立証するべく"深淵"と呼ばれたダンジョンの最深部を目指す。誰もが成しえなかった偉業を達成した彼女達の眼前に置かれた石版に、この世界にいる女神の存在を強く感じ取るも、現在では使われていない言語を解読することはできず、結局はそれが何を意味しているのかを知ることは叶わなかった。

 遙か古代の文字で書かれたと思われるそれを読めてしまったイリスに驚きながらも、彼女の知識を共有して石版に書かれたものの研究をしていくが、そこに書かれた衝撃的な事実に凍りつくこととなる。

 にわかには信じ難い内容が記されたそれは、女神からの警告だと彼女は悟る。

 その事実に、レティシアの成そうとしていたものとは違ったものを感じ取った彼女は、イリスと共に現状を打破しようと考え続けるも、結局は人の身でどうにもできないという答えに辿り着く結果となった。


 イリスが石碑を去った後、耳が痛いほどの静けさを感じる世界にひとり佇む彼女は、不穏な空気を感じ取るも、すべては考え過ぎだと思ったようだ。

 愛弟子として思えていたイリスを想いながら、彼女は光となって消えていった。

 メルンが最後に見せた優しげな微笑みは、愛弟子に向けるようなものではないことを彼女が気付くことはなく、またイリスがそれを知ることもなかった。

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