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この青く美しい空の下で  作者: しんた
第十二章 一花の歌姫
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登場人物紹介12

◇カーリン・ヘルムート

 ツィードの宿屋"月夜の湖亭"女性主人。既婚者。

 旦那であるアーダムと二人で宿屋を経営している。

 元々は先々代が始めた、ツィードでは割と新しい宿となっているが、本人の性格が宿屋業に合っているようで、先代から続く割と寂れていた宿をツィードでも指折りの宿にした、この街でもかなり有名な人物。

 その卓越した手腕は、エークリオから噂を聞きつけた同業者が見に来るほどだと噂されるも、そういった存在は匿名で現れるので分かるはずもなく、カーリンはいたって普通のお客様として対応をする。

 それが却って自然体に見えるらしく、また丁寧で気配りの行き届いた経営方針は、エークリオにある多くの宿に取り入れられていることを彼女は知らない。


◇ビビアナ・アランバルリ

 中央広場から少し路地に入った先にある飲食店、"草原の宴"に勤める看板娘。

 明るくとても楽しげに仕事ぶりと、美味しい食事を運んでくるから、客足が絶えることはない。アデルの唄を聞き、店で歌って欲しいと懇願した女性。

 彼女とは子供の頃からの付き合いで、素敵なお姉さんと思っていたようだ。

 イリス達が旅立った現在もとても明るい笑顔で客を迎え、看板娘として働く。


◇エンリケ・アランバルリ

 ツィードでもかなりの料理の腕を持つと言われる、"草原の宴"の料理人。

 娘のビビアナと二人三脚で経営するも、アデルの唄も相まって、客足が遠のくことは無くなった。

 元より料理の腕はかなりのもので、それ目当てに来る客も少なくはない。

 アデルがこの街に来た日からの知り合いでもあり、兄のような存在。

 病気についても薄々気が付いていたようだが、本人が隠している以上、それを尋ねることはなかった。

 現在も変わらず美味しい料理を作りながら、毎日アデルに花を添えている。



◇アーデルトラウト・ヴァイスハウプト(アデル)

 ブリジットの親友で、幼少期に生き別れとなっていた女性。

 故郷の集落を襲った魔物から逃げるも、ブリジット達とは全く違う方向へと逃げてしまい、それが彼女の運命を分かつこととなる。

 命を懸けて時間を稼いだ母のお蔭で冒険者に救われた彼女は、そのままツィードへと向かうこととなる。


 幼馴染のテランスとは、ツィードに来た日からの付き合いとなるが、彼の想いを知りながらも病気を抱えた自分にできることは、彼の一番にならないことだと想いながら、彼の気持ちに気付かないふりをし続けた。

 いつしか彼のことを一番に想うようになっていたアデルは、残り少ない時間を共に過ごすことではなく、彼が一番傷付かない方法を選び、彼の一番近くにいないことを決断する。


 母の命を奪った存在が自身の左足に牙を立てたことで、倒した魔物から抽出した血清がなければ治すことのできない最悪の猛毒を、幼くしてその身に抱え込むことになる。

 生涯痛みと共に生きた彼女は、泣き言を口にすることなく懸命に戦い続けた。

 母から教わった名もなき歌を沢山の人に唄い続けた彼女は、親友の願いを叶えることはできたが、終ぞブリジットと再会することはなく、短い人生に幕を下ろした。

 彼女を想い、彼女の下へと集まった参列者は、日が傾くまで途切れることはなく、多くの者達に溢れんばかりの花を添えられた。



◇テランス・ラングレー

 吟遊詩人見習いで、リュートと(うた)を勉強中の男性。

 アデルが初めてツィードに来た日に恋に落ちていたが、子供心に気付くことはなく、ただ彼女と一緒にいたいという気持ちが非常に強く感じていたようだ。

 次第にそれは恋だと知った彼は、その気持ちを伝えることなくここまでやってきた。

 その想いをアデルは気が付いていたが、自身に置かれた現状を知り、彼の一番にならないことを決意した。

 奇しくもそれは彼自身が選んだ答えと同じもので、誰よりも愛しているからこそ思い残すことのなく旅立って貰うために、彼女の一番近くにいないことを彼は選んだ。


 アデルが眠りに就いたのを一番ではない場所から見届けた彼は、笑顔で花を添え、アルリオンに旅立つことを最愛の人に報告し、イリス達とは別の道を歩いていく。



◇ソラナ・サラビア

 世界四大薬師の次に有名な、世界でも屈指の凄腕薬師。

 彼女の功績を讃え、五人目の最高峰の薬師だと言う者も少なくはない。

 レスティと同い年で親友の間柄の彼女は、人当たりも良く、知識も経験も豊富な凄腕薬師であることは間違いない。

 親友の弟子で孫でもあるイリスの存在をレスティからの手紙で知ってはいたが、これほどまでに知識が深いとは流石に思ってはいなく、相当に驚いたようだ。

 共にアデルのための調薬を思案しながら作り上げていくも、結局は命を救えないことに思うところはあった彼女だったが、イリスはそれでも笑顔で旅立つことができたアデルを見て薬師の役割が何かを言葉にし、彼女を大いに驚かせた。


 現在もツィードで薬品店を経営しながら、孫娘であるラウラと共に暮らしている。

 薬師のあるべき姿が彼女にもはっきりと見えることができた切欠を与えられ、たとえ命が救えなくとも、その人の笑顔のために薬師として過ごしているようだ。



◇ラウラ・セーデン

 ソラナがツィードに辿り着く直前に看取った、ツィード所属冒険者を父に持つ。

 治療行為がもう少し早ければ助けられたことに苦悩するソラナではあったが、幼く引き取り手のいないラウラの面倒を家族として見る決意をする。

 これまで旅を続けてきたソラナも、そろそろ腰を下ろしたいと思っていたようで、彼女の存在を放っては置けなかったこともあり、二人で過ごすこととなった。


 あくまでも将来の可能性を広げるために学ばせていた薬学知識だったが、かなりの速度で学んでいくラウラは、薬師として大切な集中力と細やかな器用さ、慎重になれる冷静さを幼い頃から持ち合わせていた。

 そのことを知ったソラナは、このままいけば一流の薬師になるだろうと思ってはいたが、彼女がなりたいものがあれば全力で支えたいと考えている。

 尊敬している祖母と同じ実力を持つイリスに尊敬の眼差しを向けながらも、真剣に二人のやり取りをメモに取って学んでいた。


 現在も店番を続けながら、尊敬する祖母とイリスのような薬師になるべく勉強中。



◇エードゥアルト・アルブレヒツベルガー(エド)

 ツィード所属冒険者ギルドマスター。

 高圧的な態度に思われがちだが、ただ無愛想で真面目過ぎるだけである。

 そんな性格も相まって、融通の利かないようなこともしばしば見られるが、彼と直接関わった者達は彼を悪く言うことはない。

 誤解を受けやすい性格であることも間違いではないのだが、本人はそれを否定することも、直そうとすることもないようだ。


 ツィードはエルマとは違い、行政を扱う組織が存在しない。

 故に、街の細かいことまでギルドが請け負っているため、非常に忙しい人物。

 朝早くから夜遅くまでギルドで過ごし、時には泊まり、時には街の視察に向かう。

 街からギルドに戻る頃には、仕事机が書類で溢れることも珍しくはない。

 そんな日々が続いているため、日に日にやつれていくのを職員は目撃している。


 グラディルがツィードの街門を破ろうと襲い掛かっていることを知り、相当に焦ったようだが、被害を与えることなく無事に事態を収束させたイリス達に心からの感謝を述べながら頭を深々と下げて、イリスとネヴィアを恐縮させた。


 長たる者としての責務と立場をしっかりと理解し、街の為に、冒険者の為に現在も職務に終われる日々が続いているようだ。

 最近、自然回復薬の効果を感じなくなって、ソラナに相談しようか考えているらしい。



 アデルさんとギルマスのお名前が似ていたので、改名させていただきました。


 ちなみにエーデルトラウトは男性名で、アーデルトラウトは女性名です。

 ツィード冒険者のデニスさんと、アルリオンの外門警護をしているデニスさんとお名前かぶっていますが、全くの別人となります。

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