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第九話 侯爵令嬢、いきなりこける!


 誰もいない卒業パーティーが行われた広間に立った私は早速、悪魔とそのしもべを衛兵に引き渡すべく一歩を踏み出そうとする。

 その瞬間……。

 こけた。


 体のバランスが取れなかったというか、体が重くなったというか、力が入らなくなったというか……

 とにかく、何もない床で盛大にこけたのだ。


 ビタンッ。

 盛大な音が広間に鳴り響く。もちろん私が床と激突した音だ。

 とっさに手でかばったのだが、したたか顔面を打ち付ける。鼻血も出た。

 すかさず回復魔法を無詠唱で行使したものの、なんだか回復が遅い。

 これくらい瞬間で治りそうなものだが、数秒かかった。


 私は以上の原因を調べるべく、自分のステータス画面を表示させる。

「ステータス」 

 名前 アルテーシア・ウィンザー

 称号 世界最強戦力の卵 世界最強侯爵令嬢の卵 最強の剣士卵 最強魔道師の卵

    最強戦姫の卵 無敵令嬢の卵

 レベル  ---(成長性EX)

 体力 333(成長性SSS)

 筋力 188(成長性SS)

 魔力 543(成長性SSS)

 速力 177(成長性SS)

 知力 777(成長性EX)

 スキル 魔法(EX段階) 剣技(SSS段階) 格闘技(S段階) 鑑定(EX段階)

     隠蔽偽装(EX段階) 収納(EX段階) 対魔法レジスト(EX段階)

     対スキルレジスト(EX段階) 全耐性(EX段階) 戦闘時強化(EX段階)

     回復力強化(EX段階) 


 なんと、レベルが消えて、レベルアップによって上昇していたステータスが大幅に低下している。

 まあ、召喚前のステータスよりはかなり高いのだが、これはあちらで魔族や魔物を多数殲滅したためだろう。

 更に、称号には『の卵』が復活しており、『異世界』が『世界』に変わっているところもある。

 向こうで取得したスキルがそのままなのが救いではあるが、正直このステータスでは、お父さまやお母様はもちろん、複数で来られればこの国の兵士にすら負けるかも知れない。


 私は次に、転がっている捕虜2名を鑑定で調べる。まずは王子だ。


 名前 ヘンリケ・ゴードリア

 称号 悪魔のしもべ 落ちた勇者 落ちた王子

 レベル --(成長性A)

 体力  21(最大71)(成長性B)

 筋力  59(成長性B)

 魔力  42(成長性C)

 速力  51(成長性B)

 知力  45(成長性E)

 スキル 剣技(S段階) 魔法(A段階) 収納(B段階)


 王子もレベルが消えて弱体化しているが、徐々に体力が戻りつつある。

 あとでまたビンタしておこう。

 次は悪魔女あくまおんな


 名前 キャンディー・コルベート男爵令嬢

 称号 悪魔 魔王のうつわ

 レベル---(成長性A)

 体力 0(最大450)(成長性A)

 筋力 332(成長性A)

 魔力 621(成長性S)

 速力 251(成長性A)

 知力 231(成長性A)

 スキル 魔法(S段階) 剣技(A段階) 格闘技(B段階) 隠蔽偽装(A段階)      魅了(B段階)


 うん、こちらも弱体化している……

 ……んっ?

体力0!?

 死んでいた……


 そういえば、送還前になにやら黒い玉を吐き出して弱っていたが、それが原因で転移に伴うステータスの弱体化時に体力が0になってしまったと言うことか……


 まあ、死んだものは仕方がない。

 私の冤罪を晴らす証人には王子になっていただこう。


 そう考えている内に王子の体力が回復していくので、私は簀巻き状態の王子に馬乗りとなって、本日何度目か分からなくなったビンタを敢行した。

 パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ……

 頬を張る音が小気味よく広間に響き、そのたびに王子からは「うっ」とか「うぐっ」とか言う声が漏れているが、私はかまわずに体力をぎりぎりまで削る作業を続ける。


 と、その時、広間の扉が開き、学園の警備をしていた衛兵が様子を見に来た。

「おっ、お前はアルテーシア・ウィンザー。

 帰ってきたのか。

 というか、お前、王子にいったい何をしている」

「いや、何って逃げられないようにビンタを……」

「みんな、きてくれー!

 お尋ね者が王子を殴っているぞ!!」

 衛兵が叫ぶと、他の衛兵や学園の先生達がわらわらと詰めかけてきた。

 その数30人ほどだ。


 どうやら、私はこの二週間とちょっとの間にお尋ね者となっていたようだ。

 しかも現在は、絶賛王子をビンタ中である。

 これって、まずくね!?



「みんな!このお尋ね者をとらえて王子を救出するんだ!!」

 大勢の中の誰かが叫ぶと、30人の大人が私をとらえるべく一斉に突撃してきた。


 正直弱体化したとはいえ、両親の虐待にも似たあの地獄の特訓をくぐり抜けてきた私にとって、この程度の人数、本気になれば何とか逃げることくらい出来たかも知れない。

 しかし、そのためには確実に相手を何人か殺すことになるだろう。

 それでは、たとえ現在の冤罪が晴らせても、別の殺人罪が加えられてしまう。


 私は仕方なくおとなしくつかまることにする。

 まあ、弁明の機会はあるだろう。

 なんと言っても私の足下そっかには悪魔落ちした王子がいるのだから……

 などと気楽に考えていたのがいけなかった。


 私は有無を言わさずつかまると、王子とキャンディーにはめていた魔力封じの腕輪をつけられ、城の地下牢に放り込まれたのである。



 どうしてこうなった……?






ご愛読ありがとうございます。

ブックマーク、評価いただいた方、ありがとうございました。

次回更新は明日の予定です。

次回、『宿命の兄妹』お楽しみに!!

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