第六話 侯爵令嬢、懐かれる!?
結論から言おう。
はっきり言ってたいしたことなかった。
確かに数は多かった。
現に今も、魔物が残した魔石と燃え残った武器を回収している。
あまりの数にいつ拾いきれるとも、予測がつかない。
早く後続の軍がついてくれることを祈るばかりだ。
魔物集団の最先端へと到達した私たち五人は、馬の轡を並べて待機し、まずは持てる限りの大規模魔法で迎撃しようと言うことになった。
そこで私が選択したのが、土魔法と火魔法と風魔法の融合魔法、オイルフレイムタイフーンである。
土魔法で燃える黒い水を作り出し、これに火魔法と風魔法で大規模な火炎地獄を再現するのだ。
そして、レベルアップで大幅増強された私の魔法は、将に加減を知らない別次元の魔法と化していた。
目の前のモンスター集団はおろか、その背後の森まで炎は到達し、完膚なきまでに全てを焼き尽くしたのだ。
その効果範囲はすさまじく、北部の森は私から近い部分には全く森だった痕跡がない。おそらく森の三分に一は焦土と化しただろう。
輻射熱で王女と兵士達も軽くやけどしたほどだ。
巻きこまれた一般の動物の冥福を祈るばかりである。
私の魔法で昇天した魔物の中にはかなりの大物もいたらしく、昨日のゴールデンキャップを上回る大きさの魔石もごろごろしている。
これで、侯爵家を追い出されても魔石の売り上げで一生遊んで暮らすことが出来るだろう。
唯一の心配は、森の破壊による生態系への影響だが、これはまずいと気がついて大急ぎで炎の先端部分に水魔法の雨をぶつけ、氷魔法の雪で冷却したので、魔物がいなかった奥の方の森は何とか保護出来ている。
しかし、後から考えると、素材が取れるような魔物も瞬殺してしまったのは少々残念だった。
次があれば、お肉の美味しい奴とか、角や皮が高く売れる奴は火魔法以外できれいに仕留めることにしておこう。
そんなことを考えていると、ぷるぷると動く虹色の物体が焼け跡の岩陰にいることに気がついた。
大きな肉まんくらいの大きさのゼリー状球体で、つついてみるとプニプニしている。
何だが気持ちがいいプニプニ加減だ。
しばらくつついて遊んでいると止められなくなってくる。
気持ちを切り替えてつつくのを止め、観察すると、ぷるぷると震えて見飽きない動きをする。
まるで犬や猫がかまって欲しいときにすりよってくるのに似た動きもする。
どう考えてもこの形状はスライムなのだが、攻撃してくる様子はないし、第一、こんな七色に輝くスライムを見たことがない。
早速鑑定して見る。
魔物名 レインボースライム(テイム状態:マスター、アルテーシア)
称号 虹の使者 最強マスターの最弱従魔
レベル 1(成長性SS)
体力 10(成長性SS)
筋力 10(成長性SS)
魔力 20(成長性SS)
速力 10(成長性SS)
知力 30(成長性SS)
スキル 格闘術(C段階) 吸収(C段階) 物理耐性(C段階) 魔法耐性(C段階)
魔法(E段階)
やはり、スライムの一種だったが、いつの間にか私の従魔扱いになっていた。
いったいいつの間にテイムしたのだろう。
心当たりは、先ほどつついて遊んでいたときぐらいだ。
それにしてもレベル1で、とても弱い。
しかし、成長性はまさかのオールSS。
大切に育てれば強くなるかも知れない。
私はスライムを拾い上げる。
「レインボースライムだからあなたのことをレイって呼ぶことにするわね。
これからよろしくね、レイ」
私の呼びかけにレイはぷるぷる震えて答えた。
まるで、こちらこそよろしくと言っているようだった。
氾濫した魔物の討伐軍の本体が到着したので、魔石や金属製の武器素材回収をそちらに任せる。
討伐したのは私なので、所有権は本来私にあるのだが、回収した魔石や素材の半額を均等割で討伐軍に支給することを了承し、手伝ってもらう。
その間に、さっきから気になっていたステータスの確認である。
「ステータス」
小声で呟き、偽装していないステータスを表示する。
名前 アルテーシア・ウィンザー
称号 異世界の最強戦力 異世界の最強侯爵令嬢 最強の剣士 最強魔道師
巻きこまれた最強戦姫 無敵令嬢
レベル 131(成長性EX)限界(レベル99)突破中
体力 13100(成長性SSS)
筋力 6588(成長性SS)
魔力 13256(成長性SSS)
速力 6576(成長性SS)
知力 26512(成長性EX)
スキル 魔法(EX段階) 剣技(SSS段階) 格闘技(S段階) 鑑定(EX段階)
隠蔽偽装(EX段階) 収納(EX段階) 対魔法レジスト(EX段階)
対スキルレジスト(EX段階) 全耐性(EX段階) 戦闘時強化(EX段階)
回復力強化(EX段階)
予想通りというか、予想以上の結果だ。
これなら明日にでも侵攻してきた魔族の軍隊を押し返しに出立出来る。
それはそれとして、今回も偽装する数値を計算するのが大変そうだ。
とりあえず、レベルは99で本来打ち止めになるらしいので、偽装中のレベルは99にしておくことにしよう。
名前 アルテーシア・ウィンザー
称号 異世界の侯爵令嬢 巻きこまれた姫
レベル 31(成長性C)→99(68up)
体力 120(成長性C)→324(68×3up)
筋力 65(成長性D)→167(68×1.5up)
魔力 120(成長性C)→324(68×3up)
速力 70(成長性D)→172(68×1.5up)
知力 120(成長性C)→324(68×3up)
スキル 魔法(A段階) 収納(B段階) 剣技(B段階)
まあ、こんなところだろうか……
剣を覚えると宣言した手前、剣技も加えておくことにしよう。
この日の夕方、真実の石版に表示された私のステータスを見て、ペリーヌ王女が感動に打ち震えたのは言うまでもない。
そして、王女自身も私のパーティー扱いだったために、レベルがカンストしていることに気づき、再び感動の涙を流していた。
ご愛読ありがとうございます。
次回はいよいよ、アホ王子たちと決着です。
次回更新予定は27日(土)の予定です。
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