第五話 王女、レベルアップする!
「アルテーシア様!
嬉しい誤算です。
私も大幅に戦力アップしました」
翌朝、朝食後のミーティングでペリーヌ王女が声を弾ませて報告してくる。
なんでも、昨日の夜に妙に調子がいいことに気がついて真実の石版でステータス鑑定して発覚したらしい。
名前 ペリーヌ・グリムガルド
称号 聖なる王女
レベル 28(成長性A)→31
体力 84(成長性C)→ 93
筋力 56(成長性D)→ 61
魔力 168(成長性A)→207
速力 28(成長性E)→ 30
知力 196(成長性S)→271
スキル 魔法(A段階) 短剣技(B段階) 身体強化(D段階) 魔法耐性(D段階)
どうやら、昨日ゴブリンを瞬殺したときに、同一パーティーと判定されたらしく、王女と3人の兵士もレベルアップしたらしい。
更に、ステータス上昇幅が今までよりも大きくなっており、どうも私と同じ割合で上がっているっぽいのだ。
私と同一パーティーだったため、上昇率の判定も召喚者と同じになったのではないかと言うことだった。
「それで、早速ですが、今日も私たち5人で周辺の魔物討伐を行い、出来れば明日には、魔族が侵入してきている地方へ遠征に出たいと思います」
ペリーヌ王女がやる気に満ちている。
そしてこういう油断したときと言うのは、たいてい落とし穴があるものなのだ。
朝食会場でのミーティングも終わろうかと言うとき、昨日のパーティーメンバーでもあった騎士団長のミハイル・ストロガノフさんが乱暴にドアを開けて部屋へ飛び込んできた。
「大変ですペリーヌ様。
北の森から魔物が溢れました。
現在王都に向かってきています。
総数不明、上位種と思われる個体の目撃情報多数。
現在、戦闘力のある者は、兵士、冒険者問わず強制招集をかけていますが、支えきれるかどうか全く不明です」
王女の顔色がサッと引き、金縛りに遭ったかのようにフリーズする。
そして私が視界に入ると、両目から涙が溢れ、懇願してくる。
「アルテーシア様。
ご無理は承知で申し上げます。
どうか、一緒に戦って下さいまし。
一緒に死んでくれと言っているようなものなのは分かっています。
しかし、このままではこの国は滅びます。
どうか、どうか……」
泣きながら懇願する愛くるしいペリーヌ王女のお願いを断ることは出来なかった。
それに私にも勝算がないわけではない。
昨日のゴブリン程度で討伐Sランクなら、魔物の大群でも上がったステータスである程度対抗でき、追い返せるのではないかと考えたのだ。
「承知いたしました。ペリーヌ王女。
ともに戦いましょう」
「ありがとうございます。アルテーシア様。
しかし、あなただけを死地に向かわせることは出来ません。
不祥、このペリーヌも運命をともにいたしましょう」
再起動した王女は力強く拳を握りしめると、ともに出撃することを宣言する。
なかなかに勇ましいが、本当にいいのか王女?
国のためにここは身を隠して再起を図るのが王族として正しい選択なのではないかと私が問うと、父王や兄弟がいるので、自分に万一のことが起こっても国は大丈夫だと健気に言ってのける。
というわけで、私は昨日のレベリングのための討伐メンバー5人で馬を走らせ、パンデミックの先頭へと向かった。
読んでいただきありがとうございます。
第5話が短かったので、第6話は明日の更新とします。
よろしくお願いします。
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