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EX2. 彼の『洗脳』

本編では竜弥たちに倒された魔術師たちの話、第二弾。時系列は不明。

「暇だと思わないかね、部下よ」


「それ、さっきも聞きましたけど」


 暗い部屋の中。二人の魔術師がだるそうにテーブルに突っ伏していた。

 片方は『パタァーン』の魔術師リー・ダンガス。もう一人は、『無邪気な箱』術式の使い手であり、何人かから「雑魚魔術師」と呼ばれている可哀想な男である。


「大規模強襲作戦の前ですからね。下手に動いて気付かれるのは嫌ですよ」


「つまらん男だな、部下よ。作戦に気付かれて失敗するようなら、それまでという事だよ」


「いやいや、大事ですって……。失敗できないんですから大人しくしていてください」


「ワタシに勝てる人間など、そもそも存在せん! 今までワタシは負けたことがないのだ! 何を怖がればいいのだろうか?」


「それが命取りにならないことを祈りますよ」


「キミは作戦開始早々、その辺の子供に負けそうだがな」


「負けないですから! 確かに『無邪気な箱』術式はまだ起動準備ができてないですが、そこまでナメないでもらえます?」


「で、外出ていいかね?」


「ダメですって」


 雑魚魔術師の、変に真面目な言動にリー・ダンガスは苦々しい表情で浮かべると、あることを思いついてにやりと笑みをみせる。


「そこまで言うのなら仕方がない。部下よ、これからお前を洗脳して、ワタシと同じ思考回路にしてやる。そして、一緒に近くの街で豪遊するのだ!」


「いや、やめてくださいよ! なんで洗脳されなきゃいけないんですか」


「お前がウザいから」


「そんなクソみたいな理由で……?」


「このパタァーン、実は使ったことがなかったのだ。№174829『言う事を聞かない部下を洗脳して操りたい時……まず、右手を対象者の目線に掲げます。次に――』」


「なんですか、その教本の説明文みたいなパタァーンは……」


 呆れ顔の雑魚魔術師。しかし、それから数分後。


「隊長! あなたに忠誠を誓います! オレの存在を全てあなたのために使います!」


 まんまと洗脳され、異常な笑顔を浮かべる雑魚魔術師が部屋の中にいた。

 洗脳術をかけたリー・ダンガスも、あまりの気持ち悪さに引きつった表情をしている。


「さあ! 出かけましょう! 隊長!」


「い、いや……なんか気持ち悪いから、やめておくことにする……」


「えー行きましょうよ! 豪遊しましょう!」


 それ以来、リー・ダンガスが部下に対して、洗脳術を使うことはなかったという。

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