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想い出の中の君。

作者: 宇佐美


僕は彼女が好きだ。



気づいたら好きになってた。




大好きな緑茶よりも。


大好きなフランス映画よりも。


大好きなうちのチャッピーよりもだ。





「なっちゃん!誰と一緒の班?」



僕が好きなのは、耶夏かなつ


みんなは、なっちゃんって呼んでる。


僕はまだその名前を呼んだ事がない。


「ちぃちゃんと…透と翔太郎と…斉藤君」



なっちゃんは僕の事を


「斉藤君」


と呼ぶ。


名字で呼ばれるけど、嫌いじゃない。なっちゃんに呼ばれる

「斉藤君」

って言葉がなんだか特別な気がしてならない。

「えーと…行きたいとこある?」

「俺どこでもいい」

「俺も〜」

今は修学旅行中の自由行動でどこに行くかを議論している。

しかし、男子生徒は非協力的な発言で僕のやる気は一気に失せた。

「…はぁ」

「斉藤君はどこか行きたいとこないの?」

見かねてなっちゃんが僕の隣に座って話しかけてくれた。心の中では

「なっちゃん」

と堂々と名前を呼んでみる。

「…ぁ、ここ行きたいと思うんだけど…」

「どこ?どこ?」

「源光庵」

「何があるの?」

「血天井と迷いの窓、悟りの窓があるんだ」

「血天井!?なんだか怖いね」

「じゃ、別の場所にしようか?」

「うぅん。斉藤君行ってみたいんでしょ?あたし初めて聞いたとこで興味出て、行ってみたいし」

「ありがとう」

なっちゃんのお陰で希望の源光庵行きは揺るぎないものになった。

修学旅行前の準備でなっちゃんは忙しいみたいだった。

行き先を決めた時以外僕となっちゃんが話した日は無い。

〜修学旅行当日〜まず僕たちは、奈良に向かって鹿と一緒にクラス写真を撮る予定になっている。

「ちぃちゃん。鹿センベイあげてみようよ」

「うん」

奈良に着いた途端、なっちゃんのテンションがあがったのが分かった。

「きゃー!!わっわっ、すごい!たくさん来ちゃった」

あまり大きくないけれど、つぶらな目がキラキラと輝いて、血色の良い頬が紅葉していたから。

「次のクラスここに何列かに並んで下さい」

修学旅行最初の集合写真は3列ある中で最後尾、中央に位置した。

隣の女子は幸運にもなっちゃんだ。

トンッ肩が触れた。そこからじわじわとなっちゃんの存在を感じる。

「はい。もっと寄って」

トンッ

「あっ!ごめん」

「ぅ、ううん」

僕は決意した。

「はーい。撮りまーす」

ぎゅっ

「えっ!」

なっちゃんは小さく驚いたが、握った僕の手を振り払わない。

ただ前を見て、手を優しく握り返してくれた。

隣同士の僕となっちゃんは、顔を火照らせて黙ったまま写真を撮り終えた。

名残惜しそうになっちゃんの小さい手が離れていった感触はずっと忘れられない。

この時撮った写真は大切にしまってある。

好き、の気持ちと一緒に。

あの頃僕は彼女が好きだった。

自分からちゃんと好きと言えず、人知れずそっと手を握る事しかできなかったけど…。

いつか彼女もあの時の事を思い出してくれるだろうか?今日僕が思い出したみたいに…。

こんにちは!そして、はじめまして(^o^)宇佐美です☆今回は第4作目、あの頃の恋愛です。思い切って恋愛話にはしなかったのですが、好きという気持ちが溢れてしょーがない!ってのを書いてみました。好き、と言葉にするのは怖いけれど…みたいな(^_^)感想などいただけたら幸いですし、処女作の感想もいただけたなら嬉しくて泣いちゃいます(^0^)/

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