前日譚 剣士リアム
リアム・ブレイドは、生まれながらにして規格外の剣の才能を持っていた。
彼の剣は、流れる水のように滑らかであり、雷のように鋭く、見る者を魅了した。
彼は、その才能を活かし、多くの人々を救い、英雄と讃えられることを夢見ていた。
だが、彼の剣は、ある時、彼が最も守りたかったものを守ることができなかった。
リアムの故郷は、権力争いに巻き込まれ、彼の家族は、彼が故郷を離れている間に、政敵の手によって皆殺しにされた。
彼が駆けつけた時には、すべてが手遅れだった。
彼の心には、燃え盛る故郷の炎と、家族の悲鳴が焼き付いた。
彼の剣は、怒りと絶望に染まり、彼は、復讐のためだけに、剣を振るうようになった。
そんなリアムの前に現れたのが、賢者アルドゥスだった。
アルドゥスは、リアムの心の闇を見抜き、彼の怒りを竜に向けさせるように仕向けた。
竜を討てば、彼の復讐は果たされる。
そう耳元で囁き、彼を仲間へと引き入れた。
リアムは、アルドゥスの言葉に乗り、ガレス、ヴァルガス、セレーネと共に、竜の討伐に挑む。彼は、竜を討つことだけを考えていた。
竜を討ち、英雄として讃えられた後、リアムは、自分たちの力が、アルドゥスの計画のために利用されていたことを知る。
竜の討伐は、アルドゥスの計画を隠蔽するための、単なる舞台装置に過ぎなかった。
彼は、自らの剣が、無意味な復讐心によって、多くの人々を救う機会を失い、さらには友を騙すための道具に成り下がっていたという事実に、深い絶望を覚える。
彼は、アルドゥスを止めようと試みるが、アルドゥスは、すでに手の届かない存在となっていた。
リアムは、友であるガレスがアルドゥスに操られていることを知り、彼を救い出すことを決意する。
だが、ガレスは、彼に「もう遅い」と告げ、自らが監視役となったことで、アルドゥスの計画を食い止めようとしていることを示唆した。
リアムは、ガレスの真意を理解し、アルドゥスの計画の根源を断つため、一人、影で行動を開始する。
彼は、かつての英雄としての栄光を捨て、ただ一人の人間として、世界の真の平和を取り戻すために、孤独な戦いを続けることとなった。




