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クローラと魔術

ふっと意識を浮かばせ目を開けた。

差し込む朝日に目を細めつつ、耳を澄ませる。


パチッパチッ


かまどから火の音が鳴り響いている。

お母さんはもう起きているみたいだ。


「Good morning mom.」


「おはようハンナ、はよ顔洗ってらっしゃい」


「ん」


英語で喋ったけど特に変化はなかったな。

そう思いつつ水瓶から水を汲んだ。


─────────────────


(うち)の洗面台には珍しく鏡が壁にくっついている。

周りのお宅にはついてないらしいので鏡が使えるのはありがたいと思う。


鏡で自分を見つつ、髪をくしでとかす。

そういえば私の髪は母親ゆずりの黒髪だ。

ただ父さんが濃いめの赤毛に近いから私の髪も陽光に透かすと若干赤茶・・・ぽいように思える。


イアロス周辺の地域は髪の毛の色が茶色から亜麻色の人が多い。その中でお母さんは黒髪なので少々異質な感じになっている。

お母さんってどこ出身なんだろう?


髪を整えた後、耳の前に垂れている髪を纏めて、少し捻りつつ後ろで左右一緒に紐で縛った。

左右の視界から遮るものがなくなり、口角上げた。


父さんが起きてきたので朝食をとり、朝にすることを終えた。


「お母さん、クラリさんのところに行っていい?」


「いいけど、1人で行くの?」


「そうだよ」


「絶対倒れないでね」


「もう倒れることなんてないでしょ」


「私もそう思うけど言っといたほうがいいでしょ?倒れられるめんどいし」


「はあ、わかったよ。それじゃあ行ってきまーす」


ガチャッと扉の音を響かせつつ外に一歩踏み出した。


─────────────────


ドアを開いてクラリの店に入るとクローラがいつもより澄ました顔で人形遊びをしていた。


「ハンナ、おはよう」


「おはよう、なんか今日機嫌がいいじゃない。どうしたの?」


「ふふふーん、昨日7歳になったんだ」


「え、昨日誕生日だったの?おめでとう!」


「それでね明日から魔術を教わるんだ、それが楽しみで楽しみで」


「へぇークローラが魔法か」


「うん?魔法?魔術だよ?」


うん?どういうこと?魔法も魔術も変わらんでしょ。そう思っていたらクラリさんが口を開けた。


「ふふふ、そのやりとり久しぶりだなぁ」


「「?」」


「魔法と魔術は全然別のものだよ」


「何が違うんですか?」


「それはね・・・・」


クローラと私は溜飲を下げる。


「それぞれの発動方法を知れば一発でわかるよ」


・・・教えてくれないらしい。クラリ先生ー、それではわかりませーん。

曰く長くなるから大雑把に言ったらしい。長くて構わないので全部言って?


「しょうがないな〜。まず前提条件として魔法・魔術には魔素および魔力がエネルギーとして発動するよ。それで魔素と魔力の違いだけど、魔素はこの空気の中に含まれているよ」


「大気中ということですか?」


「よくそんな言葉知ってるね、その通りだよ。次に魔力だけど、これは体の中にある魔素と同じエネルギーだよ」


「それじゃあ魔法と魔術で使われているエネルギーの出どころが違うってことか」


「その通り!魔法は魔力から、魔術は大気中の魔素からエネルギーをとっているんだ」


なるほど、じゃあ大気中にある魔素を無くせば魔術は発動できないのかな。

ちなみにクローラはどんな感じというと・・・


「(プシュー)」


ちょっとだけオーバーヒートしている。


「クローラ、大丈夫?」


()()()()()()言っていることがわからなかった」


()()()でしょ。

するとクラリさんが、


「まあ基本的に絵で描いて説明するものだからしょうがない」


と肩をすくめた。

さて、まだまだ聞きたいことがあるぞ?


「エネルギーの出どころが変わるだけでどんな違いが生まれるんですか?」


「難しい言葉のオンパレードになるけどいい?」


「あ、クローラが死んじゃいますね。じゃあやめておきます」


そうだよ、私はなんか理解できるけどクローラはまだ7歳。小2と同じくらいと考えると今の会話はちょっと難しかった。


「まあ、私は人に物を教えるのが苦手だから、多分クローラちゃんが魔術の先生に教えてくれる時はもっと楽にわかると思うよ」


とクラリさんはクローラの頭を撫でた。

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