ケイドロ(二戦目)
次の試合は同じ組み合わせで役割を交代してやることになった。
つまりルッツ、ライタル、私が泥棒、フリップ、ハルトムート、クローラが警察となった。
「それじゃあ追いかけるね〜」
とフリップが言う。さ〜て誰が釣れるかな?
バックしながら状況を見ていると、クローラがついてきた。
「絶対捕まえる!」
かなり私を捕まえることに息巻いているようだ。
今回は逃げるなので相手にペースを握られる心配がない。むしろ振り回せる側だ。できるだけ相手が疲れるようにしよう。
できるだけクローラを引き付けたあと、タッチしに来る手を避ける。そしてでクローラの背面から逃げた。このときにクローラが追いつきそうで追いつけないペースで逃げる。
数回繰り返すとクローラは私を狙うのを諦めた。そのときはすでに肩で激しく息をしていた。対する私は、少々息が上がる程度だった。
・・・しばらくクローラは追いかけられないだろう。
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あのあとはしばらく、警察の目にできるだけ留まられないように逃げた。
なおその間に私以外の二人が捕まった。まあ脱獄できたのでセーフだね。
現在は未だ捕まっていないの私がフリップとハルトムートに追いかけられている。しかし追いかけられてから、かれこれ数分はたっている。意外と逃げれるんだね。
ちょうどそう思っていたとき、フリップが一度追いかけるのから離脱した。
ハルトムート一人だし振り切るか?いや体力を消耗させる方を優先しよう。
そうやって適当に逃げていたら、左斜前からフリップが来た。そして右は壁、そのまま突っ走っても壁にぶつかる。
知らず知らずのうち、罠にさそいこまれたようだ、おい謀ったやつ手を上げろ!
ハルトムートは少々後ろにいる。なのでフリップとハルトムートの間に飛び出せばいい。
・・・が、クローラがハルトムートの後ろから二人の間に出てきたことを視界の端で視認した。
完全に包囲網が完成している。抜け道がなかった。
なので私はあっさりクローラに捕まった。
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「散々あたしを弄んだようだけど、ざまあだね!!」
牢屋に連行せれたあと言われた言葉だった。弄ぶってなんだよ。何となく分かるけど、そんなつもり無かったぞ?
「なんのことかな?」
面倒だったので適当にとぼけた。
ちなみにだが私を捕まえられたあの包囲作戦はハルトムートが考えたらしい。
そしてハルトムートが、適当に逃げる私を自然に誘導していたということになる。この人天才?
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その後、またルッツが捕まった。これで残っているのはライタルのみ、絶対的に不利な状況になった。
まあ二戦目始まってから既に10分以上経っている(気がする)から終わってくれて構わないのだけど。
その時転機が訪れた。
「それじゃあ僕帰るね」
と、ハルトムートが言った。
これにより警察側が2人、泥棒側が3人になった。
・・・勝ち筋が見えたかも。
再び気合を入れた私だった。