表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/19

魔法? 何それおいしいの?

 夜になり、お母さんと私は街はずれの丘に向かっていた。昼間の騒がしさはすでに消えており街はしんと静まり返っている。お母さんの持つランプは細々と光っているが、雲に隠れて月明かりがない今はそれがとても頼もしく思う。



「ねえ、お母さん。今から何するの?」


 私は首を少々傾けつつ聞いた。


「う〜ん、世の中の常識から外れたこと・・・・・・かな。普通の人に知らないことを教えるから」


 ・・・・・・だからなにをさせるつもりなんだよ。


「ただ、一つ注意してほしいことがあってね・・・・・・」


 お母さんは足を止め、振り返って私を見た。


「これから教えることはあんまり人前でやってほしくないんだよね」


「友達ならいいの? クローラとか」 


「あ、クローラちゃんなら大丈夫だと思う。ただ単純に知らない人の前でやるのを控えてほしいっていうだけだよ」


 それ大丈夫なんですかね。六歳児を信頼しすぎでは? 六歳児って結構ペラペラ喋りますよ? ・・・・・・私は喋らんけど。


「なんで私に教えたいの?」


「ハンナが私の子だからだよ。魔法を扱うにも素質が必要だからね」


「ふーん、魔法・・・・・・ん? 魔法?」


「あ、言っちゃった」


 とっさにお母さんは口を押さえた。なお私はわざと言ったようにしか聞こえなかったため、思わず苦笑いをした。


 それにしても魔法か。魔法ってなんかどっかで誰かと話していた気がする。ええと、いつだっけ?私は記憶をギュイーンとさかのぼって誰と魔法について話したか探る。


 そうそう、数か月くらい前にクラリさん、クローラ、私で魔法と魔術について話していたんだ。


「魔法って、体内の魔力を使うやつ?」


  お母さんは一瞬だけキョトンとした表情になった。


「・・・・・・もしかしてクラリが話した?」


「うん、私とクローラの前で」


「あっそう・・・・・・」


 そのお母さんの冷たい声が凄く怖く聞こえたのは気のせいだろうか・・・・・・私の背中はゾクッとなっていたのだった。




 

 *  *  *




 

 丘の上につく頃には雲が晴れて月明かりが入り、明るくなっていた。(ちなみに月は複数個存在する)お母さんはランタンの灯を消し、地面において言う。


「う〜んと、まずは体の中の魔力を感じよう。両手を出して」


 私とお母さんの手を合わせると、お母さんの両手の色が濃くなり(もう発光と表現していいかもしれない)、その何かが私に流れ込んでいく。私の両手はジャムに手を突っ込むかのような感触に加え、私とお母さんの手が融合していくように錯覚した。


 私は気持ち悪くて思わずお母さんと手を離してしまった。でも離してもまだ手がジンジンとしており触覚が伝わらない。


 手には魔素のようなものが残っていた。ただしなんか雰囲気が違う。あとこの感じをどこかで見たことあるような・・・・・・?


「今何したかわかる? 私の魔力をハンナに向かって放ったんだけど」


「魔力? これが?」


「うん、でも反発しなくて馴染んじゃったからわかりにくいよね。やっぱり血が繋がっていると魔力の色も近くなるってことか」


 お母さんはそういって納得した表情を作った。


「魔力の色・・・・・・?」


 私はぼそっとつぶやき、お母さんの魔力をよく見るが依然として無色透明(?)にしか見えない。じゃあ色って何?と考えていたところ、お母さんは笑いながら言った。


「魔力は実際に色がついているわけじゃないよ。人それぞれの魔力の特徴を色って言っているだけ」


 ーーそのうちわかるから今は気にしなくていいよーーと付け加えたお母さん。それ以前に気になることがあるのだが、今お母さんは私の心を読んだかのような反応をしなかった? まあいいか。




「あ、そういえばまだ魔法を見せてなかったね。と言ってもみんな魔法の亜種的なことをやっているけど」


 つまり一応誰でも魔法は使えるってこと? てっきり魔法は一部の人しか使えないと思っていたんだけど・・・・・・。


 お母さんは人差し指を出すとそこから小さな炎を出した。もっとすごいものかと思っていたのにあまりにも小さくて思わず「えっ、これだけ?」と言ってしまった。なんかこの程度ならマジックとしか思えなくなる。


 お母さんもそう反応するだろうとわかっていたらしく、苦笑いしながら言った。



「ごめんね。今あんまりでかいやつ出せないんだよね」



 火はすぐに消えて、余ったと思われる魔力の残りがあたりを漂う。その様子を見て私は思い出した。


「そうか。なんか見たことあると思ったら、重いものを持ち上げたり速く動こうとしたとき出ていたモヤか!」


 前に初めてケイドロをやった時、ライタルがなんかそんな風になっていた気がする!


「そうそう、それがさっき言っていた魔法の亜種・・・・・・いやもう魔法って言っていいかもしれないね。要は身体能力の底上げでみんな無意識に魔力を使っていたってこと」


 なるほど・・・・・・そうゆうことだったのか。つまり私も無意識に魔法を使っていたということなのかな?

・・・・・・どうやって? 無意識とはいえ、何かそうなるための条件があるはず。


 行動がきっかけで魔法が使えるのかな? いやさっきお母さんが魔法を見せた時にそんな様子はなかったから・・・・・・。


 やっぱりお母さんに教えてもらったほうが早い気がするので私は訊いた。


「魔法はどのようにしたら使えるの?」


 お母さんは私の頭を撫でながら言った。


「魔法は頑張って想像して創造するの。ぶれない心で強く・・・・・・ね?」


 頑張ってイメージしろってことらしい。じゃあ頑張るか! 







 でもものすごく時間かかりそう・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ