模擬戦1
本日は模擬戦当日だ。
相手は同じ街で魔術の教室を開いている、タロワという人の教え子たちだ。
早速顔合わせでその相手側のみんなを眺めていると、何人か見知った顔が・・・・・・。
「あれ? ライタル? とルッツ・・・・・・あ、いつも一緒に遊んでいる人たち全員いるじゃん」
それに対しクローラが反応した。
「あ、ほんとだ。でもフリップくんってまだ六歳だよね?」
それ言ったら私だってまだ六歳だぞ?
(※フリップは先週七歳になりました)
「みんな集まって!」
先生に呼びかけられたのでみんなが集まる。
「それじゃあ今日の模擬戦の説明をするぞ。形式は団体戦、五人制、二枚だ。わかったか?」
団体戦とは剣道とかの団体戦と同じように一対一を何回かやるやつだ。五人制なので今回は双方五人出して五回戦う。細かいことは後で説明しよう。
「つまり全員出るのね?」
エリサちゃんがそう聞くと先生がうんと頷く。
「それじゃあ、順番を言うぞ」
1番ルカ、2番クローラ、3番エリサ、4番マリオ、5番ハンナ
「え、私が一番最後!?」
「大丈夫、これはルカくん、マリオくん、エリサちゃんが勝てるように組んだ。だから一番最後は消化戦なんだ」
それって逆にその三人のうち一人が負けたら・・・・・・、いや、まあないか。この一週間みんなの強さを見ても、この三人は強い。
───(ルール)──
まず、試合前にオーバーキル対策の結界を一枚、模擬戦用の結界を二枚張る。模擬専用の結界は攻撃を受けたとき、攻撃が受けなくなったら崩れて壊れる。(説明ムズイ)
これはレーザーなどの長時間照射するタイプの魔術が連続で結界を割れないようにするためである。
そしてこのオーバーキル対策というのは模擬戦用の結界を二枚割られた後は防御されないので、そのあとの攻撃を防ぐためである。
もうわかると思うがこの模擬戦用の結界を二枚割られたら負けだ。ほぼ被弾=結界破壊なのでできるだけ被弾しないような立ち回りが重要となってくる。
あとは制限時間が存在し、時間が切れると割った枚数が多いほうが勝ち。同じだったら引き分けだ。
一枚割ったときは審判の判断により継続、もしくは仕切り直しをする。このあたりのさじ加減は柔道の”待て”と似ていると思う。
───(一戦目)───
「ほんじゃあ、行ってくるぞ」
ルカくんがそういうと、ほかのみんなが「圧勝してね」「一枚でも取られたら許さねえぞ」とすごくプレッシャーをかける。なお、かけられている本人はそこまでプレッシャーと思ってなさそうだった。
ルカくんと相手の人は開始線に立ち、審判の言葉を待つ。
「礼」
「「お願いします」」
「・・・・・・始めてください」
不意打ちのようにいわれた開始の合図に両者が対応する。まず最初にルカくんは得意属性である土属性で地面から壁を生やした。相手側は素直に攻撃の準備に入る。
二秒程経過した時に相手がルカくんに攻撃を撃ち込んだ。
ただルカくんの生やした壁にことごとく阻まれていく。いくつかの壁は崩れ落ちる。しかし崩れた瞬間から新たな壁を生やす。
それを五回ほど繰り返したとき、相手の足元にルカくんが作った術式が発動し相手を拘束した。そのままルカくんはバスンバスンと攻撃を撃ち込み、相手の結界を割った。
仕切り直して、・・・・・・とまあ長々と続けても意味ないので結果をいうとルカくんは二枚:一枚となった。
・・・・・・先ほど「一枚でも取られたら許さねえぞ」といった人にルカくんが叱られていたのは別の話だ。
——(二戦目)——
「負けちゃったよおぉぉ~」
「まあ頑張ったほうだって」
クローラは、あっさりと二枚割られた。
相手は風属性と同じ系統を得意とする人だった。クローラはまだ自分の得意な属性を発見できていないため、メインに《法弾》を使っている。
「風属性の系統の攻撃は見にくいし、早いから大変だよねえ」
エリサちゃんがそう言った。
——(三戦目)——
「・・・・・・始めてください」
この試合は両者拮抗した。というか最初から最後まで情景が変わらなかった。
まさにこれがターン制を極めたような試合だったので本当に言いようがない。
そして結果は1:1だった。
うん、私の試合が消化試合じゃなくなったんだけど。先生はどんな表情かというと。
「いや、まさか一番強い人ぶつけるなんて・・・・・・」
かなり落ち込んでいる。タロワさんが策士だったということかな?
——(四戦目)——
マリオは火属性を得意としている。そして今回の相手はルッツで水属性が得意らしい。見事に相反する属性をぶつけている。相反しているというのは互いに”楽な属性で苦手な属性”ということ。戦い方次第で変わってくるので結果がわからない。
ということで結果は2:1でマリオくんが勝った。ぎりぎりだったしかなりよく頑張ったと思う。
さて、私は引き分け以上になれば勝てる。相手は、
・・・・・・ライタルだ。