表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/198

84.授業の続き

 赤ちゃんだったころに聞いた話も合わせてまとめてみる。


 まず気力とは、人は必ず持っているもので、その容量は個人差がありその差もかなり大きい。


 ――この辺りは魔力と同じって認識でいいのかな。魔力を使うとすぐに枯渇しそうになって魔力がないに等しいって人もいるみたいだけど、魔力自体は誰もが持って生まれるようだし。まぁ俺が患っていたと思われてる病気のように、例外もあるみたいだけど基本的にはみんな持っているものっと。


 気力による身体強化はほとんどの人が使えるが、放出する技は気力の消費が大きいので戦闘を生業としているハンターや冒険者でも、使わずに身体強化のみで戦うことも多い。


 そもそも攻撃魔法を使うにも、適性などがあって使うのが難しい魔法があるように、放出技も個人のセンスなどが関係していて使えない人もいる。


 ――生活魔法なら魔力量があれば使えるしその位置が身体強化で、攻撃魔法と武技が同じような感じかな? 俺を含むうちの子供たちはすんなりと攻撃魔法の発動自体は出来て、じいちゃんがそれも結構異常なことだと言ってたけど、俺が知ってるのはうちの事だけだから、魔法に関してはあんまり実感がないな……気力に関しても感じることができる父さんが兄姉は問題ないと言っているし、そもそも両親のスペックを考慮すると間違いないんだろうな。


 武技を使うには身体強化の効果量を自由に変えられるほど、使い慣れていないと発動は難しい。


 ――無意識に使っている身体強化だと"見た目によらず力があるな"ってくらいだけど、それを自分の意志でさらに強く出来るくらいには慣れないとダメなのか。


 そして気力が少なくなるとドッと疲れが押し寄せてきた感じになり、バテバテ状態になって効果量も落ちる。


 魔力がなくなりかけると頭痛が来たりめまいがし始め、完全に枯渇すると死に至ることに比べ、気力の方は枯渇したとしても数日寝込むことで回復するらしい。


「気力の方は命の危険はないんだ?」


「気力が枯渇すること自体にそこまで危険はないが、それが戦闘中などだともちろん死ぬ可能性はあるし、別の病にかかっていた場合悪化することもある。だからこそ自身の保有量を把握し、それを鍛えることも大事だな」


「やっぱり魔力と似てるんだね」


「あぁ……魔力は尽きる前に体調が悪くなってストッパーが掛かるから、枯渇しきって死ぬようなことは()だが……戦闘中にふらついたらそのまま命を落としかねんしな」


 父さんは俺がその"稀な死に方"をしてしまう可能性があったことを思い出したのか、優しく撫でてくれる。


「気力量を増やすのって、魔力と一緒で使っていればいいの?」


「あ~、確かにそれでも少しは増える」


「え、少しってことはあんまり増やせないものなの?」


「いや、増やすには自分で効果量を調節できるようになってから、出来るだけ高出力で繰り返し使って増やしたり、基礎体力をつけることでも増える。だから走り込みの時は気力での強化をしないようにしているんだ」


「確かに使ってるだけで増えるなら、無意識に強化して作業してる農家の人とか、すごいことになりそうだもんね……」


「はっはっは。確かにそうだなぁ。まぁ実際に使う機会のない一般人よりは断然多い。だからこそ緊急時の戦闘部隊には農家の人が入ることもある。力仕事でも活躍するから、戦闘が苦手なものはそっちをやってもらったりな。もちろん強制ではないがな」


「なるほどね」


 結局その稽古で俺は木剣を握ることはなく、軽く走って体力づくりに励むことになった。


 いつもは俺がずっと魔法の稽古をしていたが、今日からはその時間も半分になった上に、俺が疲れている様子を見てさらに短くしてしまったので、母さんはどこか不満そうだった。




 1週間ほど経過したが稽古の内容は特に変わらず、俺は体力づくりに励んでいる。


 走るときは注意しているので転びはしなくなったが、やはりすぐにバテてしまった。


 ――まぁ子供の身体とはいえ、そんなすぐに体力が付くわけないよな。アリーシアさんと"みんなで森へ行く"って約束をしてるから、それまでにはある程度体力つけないとなぁ……


「今日は俺もカレアも村の方へ行くんだが、おまえたちはどうする?」


 昼食後の食休みをしていると、父さんが子供たちにそう問いかけてくる。


「僕は家にいます」


「私も~」


 兄姉がそろって家に残ると言うのは、両親が仕事の時について行っても退屈なのが分かっているからだろう。


 ――兄さんは勉強になるからか結構一緒に行くこともあるけど、子供には退屈な時間なのは変わりないもんなぁ。両親もそうと分かってるんだろうけど、俺はまだ父さんか母さんと一緒じゃないと行けないから、実際には俺に聞いてるようなものか。


「俺は行きたい」


「お。わかった。それじゃあ準備するか」


「待ってる間、教会に行っててもいい?」


「ん? それは……」


「ふふふ。カーリーンは村に行くとよく教会に顔を出してるものね。神父様とも仲良くなっているようだし、いいわよ」


 ちょうどイヴに聞きたいことも色々増えたのでそう言ったのだが、前々から村について行くたびにお祈りをしに行っていたからか、あっさりと許可を貰えた。


「今日はカレアも一緒にいてほしいんだが……」


「教会ならカーリーン1人でも大丈夫なんじゃないかしら。行くときに一緒に行って許可を貰ってからだけれどね」


「まぁ村長の家からは近いが……カーリーンならまぁ大丈夫か」


 ――たまに()()()()()()()から、完全には安心しきっていないような返事だけど、3歳ってことを考えると迷惑を掛けないか不安になるのも仕方ないか。


「カーリーンが行くなら私もいくわ!」


 そう思っていると姉さんが手を上げながらそう言う。


「それは構わないが、エルが来るのは珍しいな」


「それじゃあ、もし教会で待ってることになったら、カーリーンをちゃんと見ててね?」


「うん、わかったわ」


 姉さんも来ることが決まるとすぐに部屋に準備をしに行き、その間に馬車を準備していたリデーナの御者で村まで出発した。


 村の中央付近まで着くと、村長の家に行く前に母さんと俺と姉さんの3人は馬車から降りて、教会へと向かう。


「神父様はおられるかしら」


「カレアリナン様、こんにちは。はい、呼んでまいりますので、少々お待ちください」


 丁度正面の掃除をしていたシスターさんがいたので、声をかけて神父さんを呼んできてもらう。


「お待たせしました、カレアリナン様。本日も礼拝でございますね」


 教会から出てきた神父さんは俺の姿を確認するとすぐに礼拝に来たと察して、母さんにそういいながら中へ入るように手で示す。


 ――一緒に村に行くときに時間がありそうなら顔を出しているからなぁ。いや、礼拝以外で来たこともないし俺がいなくてもそう思うか。


「それなのだけれど、今日は村長の家に用事があってね。カーリーンが礼拝しに行きたいっていうものだから、その間邪魔じゃなければこの子たちを教会にいさせてもらえないかしら?」


「エルティリーナ様もカーリーン様もいつも心を込めて礼拝されておりますし、心から歓迎いたしますよ」


 神父さんはそういいながらにっこりと笑う。


「それじゃあ、迷惑かけないようにね。私も用が終わり次第、礼拝に伺いますわ」


「えぇ、お待ちしております」


 母さんはそういうと馬車へ戻り、俺と姉さんは神父さんに教会内へ案内された。


「さっそく礼拝されますか?」


「はい、そうします」


 教会に入ると神父さんの言葉にそう答えて神像の近くの椅子に座ると、姉さんも隣に座った。


 姉さんは両親が仕事のときは一緒に来ることが少なく、教会に一緒に来るのはこれがはじめてだったりする。


 ――いつもならもっと話しかけたりしてくるんだけど、さすがに教会だから静かにしているのかな?


 そう思っていると姉さんが指を組んで目をつむったので、俺も同じように目をつむって、心の中でイヴを呼んだ。

ブックマーク登録、評価やいいね等ありがとうございます!


誤字報告も非常に助かっております!


そして説明回っぽい話が2話続けて……からのここからイヴへの質問回なので、追加に……あまり情報量が多くならない程度に、雑談的なものを挟みながら進めようかと思っているので、ちょっと長くなるかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルブックス様HP
異世界に転生したけど、今度こそスローライフを満喫するぞ!
1巻
第1巻
― 新着の感想 ―
[良い点] まだ3歳だけど、カーリーンはあまり体力ないキャラなのかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ