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108.最終チェック

気がつけば王都へ向かう前に、結構な話数になってしまったので、章のタイトルを『春』に変更しました。

 今日は王都へ出発する日なのだが、特に朝早くから起きる必要もないらしく、いつも通りくらいの時間に目が覚める。


 意識が覚醒したのでゆっくりと目を開けると、姉さんの寝顔が目に入った。


 ――コレも日常になりつつあるな……まぁ夜中まで長々と話をしたりすることもなく、言葉通り"一緒に寝るため"に来てるから寝不足にもならないし、寝相もいいどころかほとんど動かないから安眠妨害もしてこないから別にいいんだけどさ。


 リデーナが来たら姉さんを起こそうと思いつつ、二度寝というほどではないが、再び目をつむってウトウトしようとすると、姉さんがゆっくりと目を開けた。


「ん~! カーリーン朝よ~」


 俺を抱いていた手を放し、伸びをしながら俺を起こそうと声を掛けてくるので、「起きてるよ」と返事をする。


 ――そっか、今日は予定があるもんな……


 体を起こして再び伸びをしている姉さんを見ながらそう思い、俺も体を起こすとリデーナがノックをして部屋に入ってきた。


「おはようございます、カーリーン様、エルティリーナ様」


 リデーナは、こういう日は姉さんがスッと起きられることを知っているので、特に驚いた様子もなく挨拶をしてくる。


「「おはよう」」


「朝食のあと、午前中には出発しますので、今日の服装は旅用のものを着用してください」


 リデーナはそう説明してくれた後、兄さんを起こしに向かったので、俺もベッドから降りてチェストから服を取り出す。


「手伝ってあげるわ」


「今日はいいよ。それより姉さんも着替えて来て、忘れ物がないかの確認してきていいよ?」


 着替えるのにも慣れてきて、1人でもそこまで時間がかからなくなってきたのでそう言うと、姉さんは返事をして自室へ向かう。


 ――渋々って感じだったけど素直に行ったなぁ……まぁこれから約1カ月ここに帰ってこないんだから、荷物の確認はしたかったんだろうな。


 そう思っていると兄さんを起こしてきたリデーナに髪などを整えてもらい、先に行くと不機嫌になりそうな姉さんが戻ってくるのを待っていた。




 姉さんとリビングに行くと、他の家族はすでに席について話をしていたので、俺たちも自分の席に座る。


「さて、昨日も荷物は確認したが、部屋に忘れ物とかはないか?」


 父さんがそう言うと、さっき部屋で再確認をしていた姉さんはもちろん、兄さんも"大丈夫"と返事をする。


 ――俺はそもそも服の他に持っていくようなものが特にないからなぁ。しいていうなら、じいちゃんから貰った魔道具の積み木くらいだし。あれなら馬車内で魔力の訓練するのに使えるだろうから、いい暇つぶしになるだろうしな。


「不安なら朝食後に少し時間があるから、その時に最終確認をしてくるといい」


「そういえば、ドラードが一緒ってのは聞いたけど、結局だれが一緒に行くの?」


「ん? あぁ、カーリーンたちには話してなかったか?」


 道中の注意事項や大まかな予定は聞いていたが、最終的なメンバーは聞いていなかったので頷く。


「うちからは御者兼世話役にリデーナ、護衛兼料理担当としてドラード、あとは護衛で騎士団から1人くるな」


「あれ? ドラードは騎士団からは2人って言ってたけど、1人になったの?」


「えぇ、フェディがいる時点で過剰戦力なのに、そこに私やリデーナ、さらにはドラードも一緒だからね。本当は騎士団から連れていくこともないのだけれど、貴族としての体面があるからねぇ……」


 ――まぁそうだよな……モンスター討伐に行くわけじゃないんだから、道中は父さんがいる時点で安全だろうし、母さんやドラードも戦闘が出来るもんな……リデーナの戦闘は見たことがないから分からないけど、母さんに魔法を教えていた事を考えると、魔法での戦闘が出来るだろうし。


「ロレイは一緒じゃないの?」


 そんなことを考えていると、姉さんが不思議そうにそう聞いている。


「あぁ、今回は俺もカレアも出るうえに期間も長いから、その間の仕事をやってもらうことになっている。領によっては代官を置いたり、うちだと村長や町長に任せることもできるんだが、ロレイは優秀だからな。なんならその手の仕事は俺よりできるだろうしな」


 ロレイナートは朝食の用意をしているためリビングにはいないが、もしいたなら笑顔で「光栄です」と言って頭を下げていただろう。


 前回王都に行ったときはロレイナートが一緒に行っており、残っていた母さんが仕事をしていた。


 今回はその母さんや姉さんの世話もあるから女性のリデーナを連れて行くことにしたのか、ロレイナートなら仕事を任せても大丈夫だからそうしたのか分からないが、そういう理由でロレイナートは残るらしい。


 ――まぁ王都にはロレイナートやリデーナの知り合いもいるみたいだから、その人たちと会えるように交代しただけっていう可能性もあるか。


 そういう話をしていると、ロレイナートが朝食を乗せたワゴンを押してリビングに入ってきた。


「ロレイにもお土産買って来るわね!」


 ロレイナートはリビングに入るなり姉さんにそう言われて、軽く首をかしげながらも「ありがとうございます。楽しみにしておりますね」と笑顔で答えていた。


 朝食が終わって、俺は父さんと一緒に玄関先に出ている。


 ある程度の荷物はすでに積み込んであるのだが、まだ少し残っているらしく、父さんがそれの手伝いと確認をしに行くというので、それについてきた。


 トランクはマジックボックスになっているが、そこだけでは全部入りきらないらしく、屋根の上部分にも少し積んであるようで、そこには防水性の布が被せられている。


 バランスが悪くなるため外にはあまり詰めないらしいが、人数の割には外に積む量が少なく済んだようで、"トランクの容量が大きくて助かった"と父さんとリデーナが話していた。


 ――さすがに衣類の入っているトランクケースとかは下のマジックボックスの中か。まだ結構スペース空いてるけど……。


 トランクの中を見てそう思っていると、玄関のドアが開いてドラードがいくつか箱を積んだ荷台を押してきた。


「また結構持っていくな?」


「道中で買い足すとは言え、食材はあることに越したことはないだろ? もうトランクに入らないか?」


「いや、まだ余裕はあるぞ」


「ここに入る分だけ入れて残りは戻すつもりだったんだが、全部いけそうだな」


 トランク中を確認しながらドラードがそうつぶやくと、箱をトランクに乗せていく。


「ねぇ、ドラード。それって冷却機能の付いた魔道具とかだったりするの?」


「いや、これはマジックボックスだな。同時に冷却が出来るものはないからなぁ。まぁ中に氷をいれてるし、長持ちはするから安心しな」


 積み込みをしているドラードに近寄って質問すると、ニカッと笑いながらそう答えてくれる。


 ――魔道具として冷却と空間の魔法を同時に付与出来ないのか。それにしても氷かぁ。この世界に来てから氷をあんまり見てないんだよなぁ。夏場の飲み物は冷えてるけど氷が入ってるわけじゃないし。まぁ食糧庫では見たことがあるし、魔法があるから冷やす時だけ使ってるだけなんだろうけど。


「ドラードも馬車に乗るの?」


「いやいや、流石に乗れないだろ。オレは馬で同行だな」


 荷物を積んでいる馬車は速度が出せないので歩きでも問題ないらしいが、疲れを溜めないために馬で行くらしい。


「ま、乗馬も疲れはするから、歩きの方が楽ってやつもいるがな。それに襲撃時にすぐに動ける方がいいのは間違いないし」


「今回は気配察知に長けてる父さんもいるから、そこは問題なさそうだね」


「ははっ。そういう事だ。多分騎士団のやつも馬を使うだろうし、そのあたりの話も道中聞かせてやるよ」


「うん、ありがとう」


 道中の暇つぶしの相手が増えたことに喜びつつ、父さんたちが荷物の最終確認をしているのを眺めていた。

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