ある戦い
図書室から出てくるとプリちゃんと同部屋のカタリナが慌てて私の前にやって来た。
カタリナ「プリが!」
私は、愛しい彼を渡り廊下で見つけ、話すことを何も考えずに声をかけてしまった。
プリ「ウィリアム君!」
私の声が届いたウィリアム君は優しく「どうしたの?」と聞いてくれた。
プリ「好きな人いる?」
そんなことを勢い余って聞いてしまった。ウィリアム君は「えー」と困り顔になった。私もその言葉を取り消そうとあたふたとしたが、ヒメらしい人が図書室に入って行ったのを見たウィリアム君は愛しい人を見た顔になった。
プリ「ヒメのどこがいいの?」
ウィリアム「えっ⁉︎プリちゃん?」
言いたくなかった。こんな感情、神様になりたいのなら持ってはいけないのに。まだ幼い感情を持っている私は止まらなかった。
プリ「あの子、力なんてないんだよ⁉︎神様なんかなれないんだよ‼︎神様になりたいのならあんな子、好きにならない方がいいよ‼︎」
なんの涙か分からない涙が目に溢れた。嫉妬から来る怒りか振り向いてくれない悲しみか、それでも涙流しながら言うことじゃないのは分かっている。
ウィリアム「…僕は、ヒメちゃんが好き」
目を合わせられなくて下を向いていたが、その言葉に驚いてウィリアム君を見上げた。今まで、誰かに弄られても絶対にそんなこと言わなかったのに真剣な顔でそう言った。さっきまで慌てて「そんなことないよ!」と言いそうだったのに。今度こそ悲しみの涙がとめどなく流れた。
ウィリアム「それに努力をしているし、なれないなんて分からないよ。僕は、そんな頑張っているヒメちゃんに恋しているんだ。」
だけど、彼はヒメを庇うように言葉を続けた。私は、もう彼を見ることが出来なかった。
ウィリアム「だけど、僕も絶対神になりたい!でも、手を抜かないでね。最高のライバルでいてよ。」
そんな事を言われても今の私は、頷く事も返す言葉もなく、しばらくの沈黙の後、そっと後
ろに下がって行った。
そんな状況を見ていたカタリナから全ての話を聞いた私は、いろんな感情になって涙
が頬をつたった。
プリ「負けないから!」
カタリナに心配されたので慌てて涙を拭いている時にプリちゃんが来て耳元に囁いた。驚
いたけど、その後、優しく私の頭を撫でてくれたから本当はプリちゃんが優しい事を私は知
っている。同部屋のカタリナの勉強を見てあげたり、人見知りの私に出来た最初の友達だか
ら。
これからも3人で絶対神を目指す。この学園にいるみんなが神様になるために必要なラ
イバルだ。
プリちゃんが優しくて、なかなか涙が止まらなかったら、キング君とエイプ君に心配されてエイプ君に抱き上げられるやらで大騒ぎになった。