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ピース  作者: 身長、小さいな
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戦闘

 順番が回ってきて、なんの武器もなんの力も無い問題児の私とドラゴンに姿を変えられる数少ない先輩のダイアナさんだ。勉強面では感心される私だが、実技ではみんなつまらそうに見ている。そう。私は、連戦連敗で、よく逃げてしまう。中には欠伸をしたり闘いに興味を示さず話に花を咲かせている人たちもいる。

地面が揺れて目の前に集中せざるを得なかった。ダイアナさんが竜に姿を変えたのだ。竜は、鳳凰などと並び最強の動物で人が姿を変えられるなど神様になれる候補として有力だ。現に、ダイアナさんは卒業してすぐに神となることを約束されている。しかし、実技で戦う私としては嫌な、嫌過ぎる相手だ。竜の足が私目がけて降りて来て私は走って逃げるしかない。数多くのみんなのように飛ぶことなどできないし、中には瞬間移動できる子もいるが、私はなんもできない。竜の口から炎が吹かれて情けないことに私は観戦しているみんなの席に逃げ込んでしまった。案の定、バリアを張れる子が助けてくれ…いや、自分の身を守っただけだが私は助かった。しかし、多数の子に怒声を浴びせられた。その間にもダイアナさんは私に近づいてきた。何人かが張った強力なバリアをも壊す炎を口を開いて攻撃しそうになった時、竜の頭上に雷が落ちて竜に効いた。雷を落としたのはウィリアム君だった。この学園で現生徒の中で雷を使えるのは彼しかいない。私とウィリアム君は目が合ったが、私は感謝の言葉も言わずにその場から逃げ出した。

  図書館は私の居場所だ。ここを使う生徒は私ともう1人しかいない。だから、泣くにはうってつけの場所だ。私は、本棚に隠れてまた泣いてしまった。神となりたいなら逃げてはいけない。助けてもらってみんなにお礼も言わずに逃げて泣いてはいけない。でも、自分が情けなくて涙が止まらなかった。

ふいに大きい手が私の頭を覆ってたくましい身体に覆われた。

  ウィリアム「大丈夫」

図書館を使うもう1人。それは、ウィリアム君だ。まだ鐘はなっていないはず。ウィリアム君が授業を抜け出すなんて珍しい。そんなこと構わずに私を探しに来てくれたようだ。泣いてしまった時、ウィリアム君はこうして私を抱きしめてくれる。彼の耳はいつも真っ赤だから心配になるがどうしようもなく安心してしまう。ウィリアム君に抱きしめられると終わりそうもない涙がすぐに止まる。

  ほどなくして鐘がなった。

  ウィリアム「行こう」

そう言って差し伸べてくれた手は大きいけれど私の手を優しく包み込んでくれる。

  泣いた時は、「もう辞めようか。」と思ってしまう。だけど、毎回、私を迎えに来てくれるウィリアム君のおかげでどうにか辞めないで済む。

  次の授業の教室の椅子に座っても先生に連れ出されず、次の日に学校に行っても退学になっておらず、今回もどうにかこの学校から追い出されないで済んだ。




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