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狼たちは無事産まれたようだ

牧場に戻ると、ラクが「掘っ建て」の中を心配そうに見ていた。

僅かに血の匂いがする。

ニオが怪我でもしたのか。

覘こうとすると、ゲンが唸って邪魔をする。

珍しいな、ゲンが俺に唸るなんて。

そこでピンときた。

出産か。

これから始まるんだな。

モニータが見たかっただろうな。

実際は危なくて近寄らせることは出来ないのだろうけど。

ハンナなんか思いっきりガン飛ばしてるし、アレがラクの出産になったら吠えるくらいじゃ済ましてくんないんだろうなあ。

まあ、心配することは無いのだろうけど、イヌ科は安産だって言うし、ニオは初産じゃないし、ゲンが慌てていないのだから大丈夫なのだろう。

問題は、このタイミングでラクが産気付いたりしないか、なんだけど。


ハイギンオオカミのラク(8歳)

状態 分娩前

LV 9

HP 110

MP 0

強 100

速 100

賢 20

魔 0

耐 130

運 15

スキル

速足・強化犬歯・首回し・甘噛み


分娩前か

何時産んでも不思議じゃない状態だな。

「ゲン、ダン」

〈ラクも直ぐに産むかもしれない。「掘っ建て2号」はラクのために空けてくれないか?〉

〈元々、外で寝るつもりだったから、それでいい、だって〉

タエが中継してくれる。

「ラク」

〈「掘っ建て」から離れるなよ。お前も直ぐに陣痛が始まるはずだから〉

熊のお産のように冬眠の穴で何カ月もじっとさせるより、狼の場合はある程度動かせていた方が良いよな。

ニオのいる「掘っ建て」の中で鳴き声が響き始めた。

ヒャイン、ヒャインと連鎖して産声を上げる。

4頭無事に生まれたようだなあ。

〈ラクの子も無事生まれますように〉

〈女神ポイントを2000付与します〉

〈どうした、昨日までは30ポイントだったじゃないか?〉

〈ささやかなお祝いと「ラクの子も」というところに切実さを感じましたので〉

〈妥当なところかもな〉

とか、ナビーネと念話いていたら、ラクが鼻を鳴らし始めた。

「ハオーン、アウォーン」

鳴き始めた。

こちらも産気づいたか?

〈ほら、ダン「掘っ建て2号」についててやれ、他のニホンオオカミは離れていてやれ〉

なんだか、心持たない動きで中に入って行くラク。

腹の子は元気そうだが、ラクは大分痩せてるからなあ。

うまく、イきめて、腹の子を産出することが出来るだろうか?

ニオは鳴き声を上げたりしなかったが、ラクは時々鳴いている。

何か辛いことがあるのだろうか?

・・・産気づいて、もうかれこれ1時間経つ。

お、ダンが反応したと思ったら、小さい声が聞こえる。

まだ1頭か。

〈タエ、中継しろ。ダン、ラクはちゃんと子の体を舐めとってるか?〉

〈うん、子は元気そうに舐められてるって。2頭目が今出てるって〉

〈2頭目ちゃんと動いてるか?〉

〈うん、ちゃんと頭が出て息してー、今出てきたって〉

〈そうか、これでラクの子は全部だ。次は後産が終わって、乳飲み始めたら安心だ〉

〈アトザン?〉

〈子を包んでいた袋がこのあと出てくるんだ。ダン、この後に何か出てないか?〉

〈出てないって、子はちゃんと乳飲んでるって〉

〈後産はまだかも知れないな。まあ、一安心か〉

「ダン」

〈ラクは大分弱ったはずだ。ハンナと交代で近くにいてやれ。今より具合が悪くなったら直ぐにタエに知らせるんだぞ〉

「クウーン」

鼻を鳴らして応えるダン。

まだ不安は残るが、何とか生まれたようだ。

今のところ餌の不足を心配しなくていいから、狼たちにはしばらく周囲の安全に徹してもらおう。

心配ばかりしてても仕方がない。

今は焼肉パーティーだ。

お祝いだ。

ゴート肉大放出だ。

ガトーが戻ってきたら、おおっぴらには山羊肉が食えないからな。

やっぱり、一番はゼナか。

今日は良く食うな。

春だからかな。

ジニーはこれを試食してくれ。

肉の細切れだ。

そうか、食べやすいか。

産後の母狼たちにもウケるかなとか思って。

まだ、やらないけど。

今は肉よりも水分補給だよな。

オークから手に入れた深皿にお湯を入れて持っていく。

まず、ニオの前に出してみた。

体を起こして飲み始めるニオ。

飲み方は貪欲そうな勢いで、良いことだった。

チラッと覗くと、子狼は乳にむしゃぶりついてる。

薄い毛でおおわれた4頭。

本当の産毛だな。

次はラクだ。

ああ、こら、ハンナ、ラクに白湯をあげるだけだから、唸って邪魔しない!

「ラク」

〈これ、飲める? 暖かい方が良いだろ?〉

ラクは初めから体を起こしていた。

器を前に出すと飲み始めるが、勢いはニオ程は無い。

齢繰ってる分、落ち着いているから、ということで良いのだろうか。

こちらも子は2頭だけだが元気に乳飲みしている。

ニオもラクも俺が覗いても怒らなかった。

その程度には信頼関係が気付かれているということだろう。

俺は焚火台に戻って焼肉パーティを続けることにする。

でもこれ、いつもやってることと変わりないよね。


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