祈りを捧げて、亜空間を試して、石を切り出して、そんな日常のようだ。
〈3度の女神の福音をありがとざございます〉
〈女神ポイントを300付与します。累積が1,210ポイントになりました。『運』に還元しますか?〉
〈1,200ポイントお願いします〉
〈『運』が102となります〉
〈三桁になったね。どういう風に行動結果に変わりが出るものか?〉
〈あなたは努力を怠っていませんから、直に実感できるでしょう〉
〈努力?〉
〈努力しない者、行動しない者には運が作用することはありませんから〉
〈ふーん、狼たちには運の低いのがいるけど、努力が報われないかも知れないのか?〉
〈いいえ、あなたと行動を共にする以上、確実に恩恵を受けることになるでしょう。『運』の100以上の影響は小さくはありません〉
〈それで勝てれば苦労はしないが、まあ、レベルアップの機会に恵まれることを祈ろう〉
〈女神ポイントを10付与します〉
まあ、確かに「祈ろう」とは言いましたけど。
祈ってばかりでは勝てないのも事実だ。
しかし、今のジュンなら、あの灰銀娘に、勝てる、とは断言できないがいい勝負になるのではないだろうか?
不安な点はレベルアップしてからの経験が不足だが、戦闘技術というより、戦意の高さならイケる気がする。
戦意の高さなら、なんせ相手は「ハングリー精神持ち」だからなあ、ステータス以外の根性値に要注意だ。
俺は家の中に入ろうとして、躊躇した。
今の俺って、めっちゃ狼臭まとってるよね。
ゼナ、不機嫌になるだろうな。
前から試してみようと思ってたけど後回しにしていたが、試してみるか。
亜空間には俺だけなら入れるはずなのだ。
今まではその必要性を感じなかったのと、入ってホントに出られるのか不安だったから後回しにしていた。
しかし、亜空間に入れたものは俺の概念次第で分離することが可能だ。
例えば獣の血だ。
肉の中の血液は分離できないが、毛に付着した血液は分離することが出来る。
内臓の寄生虫も、肉とは異分子だからだろうか、適度に切断しておけば消化器系に癒着しているような状態でも強制分離することが出来る。
亜空間に入れば、俺に付着していた匂い成分も分離できるのではなかろうか。
やってみよ!
飛び込んでみた亜空間内は外から見た通り周囲は真っ黒だ。
肉や皮の横は嫌なので、取り込んだ岩の横に入ったのだが、岩は上も下も滞りなくよく見える。
俺の手足も良く見える。
で、体に付着していた汚れや狼の毛を分離するように意識すると、体から剥がれて空間内のすぐ横に一列に並んでいった。
次からは、雪か水を纏っておくと分かりやすいかもな。
亜空間の出口は入った時と同じ大きさで存在している。
内部からも大きさを変えれるようだ。
で、肝心の居心地だが、正直落ち着かない。
まず、風がない、空気の動きがない。
音がしない。
匂いがない。
更には、重力がない。
無重力なのに意識すると全方向に移動できる。
しかし、馴れれば、常駐できるかもね。
今は、もう出よう。
三角形の窓の際から体を外に出そうとすると、押し出されるような感触がして、通常空間に戻ることが出来た。
外はまだ日が高い。
ゼナに挨拶して、ジニーと遊んだ。
その後、河原に出て石の焚火台の材料を選定する。
ここは玄武岩が多いよな。
同じ玄武岩でも、風化具合と鉱物の配合具合で硬さや加工結果に差が出ちゃう、とか、石の板を切り出しながら選考したが、結果はとにかく作ってみないと判らないということだった。
いくつか切り出して、水平に横切りした岩の上で組み合わせてみる。
同じような色具合の組み合わせがいいみたい。
河原には平たい石と三角柱が大量に・・・遠くから見たらわからない程度だもん、自然破壊じゃないよね。
出来た焚火台5組ほどを収納して戻ろう。
しかしこれ、ずっと同じ場所で使うのなら悪くはないんだけど、移動には向いてないよね。
イノキバたち、無事持って帰れるのだろうか?
いらぬ心配より飯の心配だ。
火焚いて、肉焼こう!




