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センスはともかく、名付けに狼たちは納得したようだ

 家に着いた俺は、慌てて柵に干した魔狼の皮を回収する。暗くなったら夜霧でまた湿気てしまうところだった。セーフ。

 外の焚火台で火を付ける。

 今日は、ゼナが外に出てきた。気づくのが早いな。俺は血で汚れた手を見て察する。ゴートの匂いか。

「ゼナ」

〈ゴートは二本狼たちが狩ったんだ。取り分は少ないぞ〉

「クフー」

 肝臓を一〇分の一程を焼きつつ、古い方のゴート肉を焼く。部位はサーロインだ。腰の背肉だ。

 肝臓を平らげ、肉を食うゼナ。俺も摘まませてもらう。相変わらず匂いがするが、味は良い。

 次の肉片を塩の板の上に置いたところで狼たちが帰ってきた。

 いつもの順番で肝臓を焼いて配っていくと最後に野犬が順番を待っていた。

〈こいつにもやるのか?〉

 訊いてみたのは与えてみたら怒る狼がいるといけないから。

 二本狼たちに拒否反応はないようだ。とは言っても残りは俺の分しかないんだよなあ。仕方がないので俺の取り分を二分して与える。まあ、俺は一〇〇gもあれば十分だからなあ。

 野犬は初めて見るゼナに怯えていたようだけど、それを察したのかゼナは家に引っ込んでしまった。だから安心したのか野犬も与えられた肉を食べ始める。

 俺は絶えず手を動かしているわけではないので、じっとしていると、長女、次女が血で汚れた俺の手足を舐め始める。世話好きが2頭になったが、まあ、好きにさせよう。

 次女の顔は汚れていないな。「女神の福音」の治療時に一緒に浄化されたのか。

 結局一頭当たり一㎏程しか食べなかったな。消費は一〇数㎏程、つまり。俺の亜空間の肉は溜まっていく一方だ。

 狼二頭の牝が俺に寄り添っている。それにまとわりつくように野犬が近づき、顔を舐めようとする。距離感が犬だな。

 しかし、ギンイヌとタテジマコヨーテの混血犬か、長い種名だな。このまま野犬と呼び続けるのも何だし、名前を付けるか。つけるとしたら、父狼からかな。お前ら順番にうるさいし。

 しかし、八頭に名前? 差別化大変かも。それに名前を付けるってことは声に出して呼ぶってことだよな。俺、今どれぐらいの発声能力あるんだろ?

 物は試しだ。ア段から初めて、ア行から声に出してみる。狼が引いているのが地味に傷つくが、負けじと続けた結果、ア行からカサタナハヤは声に出せる。濁音階も一行除いて合格だ。マ行とラ行・バ行がダメみたい。つまり、唇を使う発声が出来ないようだ。しかし、かなりな進歩だ。誰もいないところで暗く独り言をしてみよう。うん、暗いな、俺。

 うん、まあ発声練習しながら、色々浮かんできた狼の名前。

〈一番、父狼〉

 一頭だけ寄ってくる。念話は通じるようだな。

「ゲン」

〈お前の名だ〉

「ウォヲー」

〈それが返事か? 良いぞ良いぞ。次は、二番母狼〉

「ギャン」

〈どう?〉

「・・・・・・」

〈え? だめ? ガンプラ好きなら推しだと思うけど。じゃあ――〉

「ニオ」

「フォン」

〈それなら納得って感じか〉

 牡の子三頭は「ガント」「グンタ」「ゴンテ」と名付けた。

 牝の子二頭は「ジャン」と「ジュン」

 そして野犬だが、お前牡牝の表示が無いよな? 俺は野犬を押し倒してひっくり返して見る。抵抗しない野犬は牝だった。まだ、未成熟だからなのか?

「タエ」

「ワン」

〈はい! 決定〉

 返事が犬らしくていいね。

〈よし、点呼〉

「ゲン、ニオ、ガント、グンタ、ゴンテ、ジャン、ジュン、タエ」

 俺は名付けたばかりの名を呼びながら、一頭ずつ首をポンと叩いてやった。順番に遠吠えをする狼たち。タエだけ「ワンワン」を連呼してる。

 焚火台も灰だけになってきたから解散か。

「カイサン!」

 俺は狼たちの寝床を指さして発声する。

 暫く、じっとこちらを見る狼たち。やっぱ、俺の声って変かな?

 ゲンが寝床に歩き始めたので他が続く。タエも寝床に受け入れられたようだ。

 俺は家の中に入ると、中は少し寒い。ジニーはゼナの胸と脇の間で暖かそうだが。朝は冷え込むので竈に火を付け屋内を温める。

 温まった竈の中の薪が全部燃え尽きたのを確かめて、やっとゼナにもたれて就寝だ。

〈「女神の福音」の無事発動に感謝します〉

〈女神ポイントを一〇〇〇付与します〉

〈多いな!〉

〈初の「女神の福音」使用にもかかわらず範囲・効果ともに適正でした。あなたの発動イメージが的確だったからです〉

〈評価が過大な気もするけど〉

〈もちろん「女神の福音」使用の初回サービスも含まれています〉

〈やっぱ、占いサイトかよ!〉

〈ところで、ポイント還元しますか?〉

〈一〇〇〇ポイントでお願いします〉

〈「運」が一〇上昇しました〉

〈もう一〇〇に迫ってるよね。これ大丈夫なの?〉

〈何を心配してるのですか?〉

〈狼とか犬とか一桁じゃない? 三桁に近い俺が近くにいると周囲のLUCKを奪ったりしない?〉

〈その発想の逆になります。すなわち、幸運な者の福音は周囲に良縁を作り他に喜びを普及させるのです〉

〈まあ、概ね関わった者に迷惑が掛からないなら良いけどさ〉

 安心したら急に眠くなった。


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