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幕間〈国境警備隊オーク傭兵団中隊本部営業所〉

 中隊長ネネ准尉の前で乳を捧げ敬礼する。

 赤いネグリジェと言う衣服を着たネネ准尉が立ち上がり、乳に手を添え返礼した。薄いいわけではないが、むっちり体形がくっきり分かるいでたちだ。

 因みに我らイノキバオークには制服などない。

 気を付け、直立し報告する。

「獣化兵部隊、第二分隊隊長、ムニム軍曹、仮任務達成の報告に参りました!」

「仮任務とは?」

「一先ずこれを」

 自分は狼の皮に包まれた二枚の岩塩を准尉のデスクに広げる。

「ほお、質は良さそうだな?」

 ネネ准尉は独特なデザインのサングラスを外しながら岩塩を手に取り検分する。

「取引相手はこれの倍の大きさの岩塩を保持していましたが、代わりに胡椒を要求してきたのであります」

「相手は何者かね?」

「種族不明の翼を持つトカゲのような姿でありました。魔族だとも仄めかしておりましたが」

「その者一名かね?」

「熊の女王が居りました。他に魔族の赤子、ニホンオオカミが七頭一軒家に陣取っておりました」

「得意の『脅して賺して分捕って』こなかったのは熊を恐れてのことかね?」

「熊の女王、以前見た時より脅威を感じました。それ以前にこれをご覧ください」

 自分は魔狼の毛皮をめくって、准尉殿に見せる。

「断面の毛が刈り取られているのがお分かりですか? 一撃でこうしたものと思われます。尋常ならざる手練れであります。そのオオカミの皮が一〇頭分以上現地にあったであります。交渉に立った魔族の御業と思われます」

「なるほど、軍曹の判断は賢明であった。私はかつてリューキ元帥が仕留めた獣の処理を任されたことがある。その時の切り跡を思い出してしまったよ」

「リューキ元帥? 実在したのでありますか?」

「この地にも足を運ばれたことがある。トドロキ連峰やクダスギは彼の方がこの地を回られながらつけられた地名だ」

「初耳であります」

「その後の元帥のことはある意味タブーであったからな。でなければ寝屋の語り草に広げたものを」

「その者、ザンザ・ガンガと名乗りました。見た目は稚児のごとき、三つ目が特徴であります。重力魔法を詠唱無しに息をするかのごとく使っていたであります」

「三つ目のザンザか。次の交渉は胡椒が必要なのだな?」

「ンプッ、絶妙であります准尉殿~高尚なギャグであります~」

「軍曹もやるではないか「「HAHAHAHAHAHA!」」

 乾いた声で笑い合った後、准尉殿は

「次の交渉には私も赴こう」

 と、サングラスを掛けながら言った。

「交渉と言えば、意思疎通は言葉ではなく念話で行ったであります」

「念話? 軍曹に念話が使えたのかね?」

「は、使えたのであります。初めて念話したのであります。おかげで一〇分後には頭痛で倒れそうになったであります」

「すごいじゃないか! 念話使いがもう一人いれば戦闘中の通信が飛躍的に捗る。二部隊進行や挟撃がより有効に実施できる」

「おお、そう言われれば便利な能力でありますな。隠密行動も安全であります」

「うむ、全員に能力の有無を確認しようではないか」

「は、取り計らうであります!」

「――――あれ、私の思考伝わらなかった?」

「今、何か伝えたでありますか? ――――」

「今? なんも頭に来ないな・・・」

「そ、その、自分も、まさかこんな能力があるとは思わなかったので、部下にも使えそうなのいなかったでありますし」

「うん、いいんだ、私、文書かけるしぃ、文官とやり取りだって出来るしぃ」

「そうでありますよ。文通で恋文送って若者ゲットであります!」

「はあー、送ったはいいけど、待ち合わせで速攻逃げられたっけぇ」

 しまった! 准尉殿のトラウマを抉ってしまったか。

「合コン! 合コンあるではありませんか?」

「ゲット率低いよねぇ。若い子しか二次会突入できないしぃ」

 ああっ、二度抉りしてしまった。

 こうして、せっかく盛り上がった報告は交際破綻報告になって互いのテンションを駄々下げていったのであった。


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