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二本狼は仲間になりたいようだ

 その日は狼の皮の剥ぎ取りを夕刻までしていた。本来もっと早くできるのだが、寒い外での作業のため、屋内に戻って体を温めて、外に出ての繰り返しで進行具合はよろしくない。

 まあ、春までまだ日はある。

 夕食はゴートの肉、ゼナの食は進まないようだが、これが好き嫌いなのか、冬眠期間だからなのかは不明だ。動物園の熊は安定した餌の供給があるため冬眠はしないそうだ。

 ゼナも行動が緩慢になるけど、エサを毎日食べてる限り眠った状態が長期間続くことは無いのかも知れない。

 ジニーはいつでも四つの乳首から授乳されるけど、俺は一日一回の食事だと、ちと腹具合が厳しい。ゼナはむしろ数日に一回程度の給餌でいいのではなかろうか? 部屋が温いうちは今のペースでもいいのだろうが。

「ゼナ」

〈今日、夕食いるか?〉

「クフー」

 ちゃんと食べるらしい。


 夕食前にひと頑張りするか、と思っていたら外から気配が、狼か、今度は勢ぞろいだな。

 外に出てみると、目前に大きい雌雄、離れたところに5匹の若オオカミが来ていた。

〈お前たちの要求と言うか希望は何なんだ?〉

 そう聞いてみた理由は、雌雄の目の前には若い鹿が転がっていたからだ。貢物としては悪くはない。初物と言う点も高評価。

 頭を低く垂れてこちらを見てる狼たち。間近でまじまじと見ると七歳の牡は短い角が前方に曲がっている。五歳の牝は曲がっていない角が斜め前を向いて生えている。双方ともに角があるだけでなかなかの強面に見える。

〈礼なら朝の兎で十分だぞ〉

 後ろからジニーを背に乗せたゼナが出てくる。狼たちが明らかに怯む。

 ゼナが鹿の死骸と狼を見比べて

「クフー」

 と肯定の声を出す。

〈いいのか?〉

 俺はゼナが魔狼を目の敵にしていることを知っていたので確認してみた。

「クフー」

 魔狼じゃなくて野生の獣だからかな? とか考えながら俺は鹿を亜空間に収納した。狼たちは目の前で消えた鹿を見てどう反応するのか? 結果は今の場所よりやや離れてこちらを窺うようになった。

 俺は家の横のいつもの場所に降り積もった雪を、亜空間に収納し、さらに五m四方の地肌を魔法で露出させて、そこで焚火をすることにした。久しぶりの外の焚火だ。

 しかし、濡れた地面の上では中々火力が上がらない俺はすぐ横に平たい石の板を作ってその上に火元を移動して燃やしなおす。台座の石が温もり火が安定する。塩の板の上で焼くのは魔狼の肉だ。二本狼たちの反応は涎を出して、物欲しそうにこちらを見ている。

 まあ、まだ上げないけど、先に与えるのはゼナだけど、ゼナに近くに来るように念話を伝えると、何やら不服そうだ。

 やっぱり魔狼なんかじゃダメ? ゴート肉がいいの? 鹿? 皮むきながらだから時間がかかるよ? 

焼きあがった魔狼の肉は二本狼の前に放り投げようかと思ったけど、一ブロックだけだと喧嘩になりそうだから、残り六ブロックを急いでレア焼きにして、まとめて投げ与える。二本狼たちは序列がはっきりしているのか、数があるからなのか整然と別れて喧嘩せずに食べ始めた。

 やっとゼナ待望のシカ肉を焼き始める。腿肉からね、皮むきやすいし扱いやすいから。

 現金なゼナはそこだけ食べるとさっさと屋内に戻ってしまった。まあ、ジニーに授乳があるから仕方がないか。

 どれ、俺も鹿肉を堪能してみるか。臭くないアウトホーンゴート、柔らかく、旨味が少ないアッサリオオヤマカモシカ。そんな感じの肉だった。オオヤマカモシカを経験していなければ高い評価を与えていたと思える良い肉だった。


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