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今夜は異世界初の魚料理のようだ

 エレトン一家が旅立った夜は、鍋の中身を全部いただいて、焼肉は無しにした。


 翌朝、俺は鍋を川に洗いに行くと以前より増水していることに気づいた。洗って戻ると、ジニーがゼナの乳を飲んでいた。

 雪が降ると食うちゃ寝が続いてしまうのだから、今のうちに遊ばないといけないだろう。特にジニー。

と言う訳で俺は川にジニーを連れて行くことにした。おや、ゼナもついてくるの?

 洗濯場の深みに行き成り飛び込むゼナ。狙いは―――あんな大きなマスっていたっけ? 六〇㎝は超えてるぞ。

 ああ、増水したから遡上してきたのか。

 ゼナは悪戦苦闘している。ヒグマのように弾いて川岸に放り出すような真似はできないようだ。あんなことは泳いでいる鮭の密度が高いから出来るんだな。

 深みから上流に逃げるマスの背中が確認できたので、俺は川の中に空間切断面を作る。マスは断面に吸い込まれ、川岸に水ごと放り出される。

 先ずは二匹ゲットだ。ゼナが岸のマスに気づく。

「ゼナ」

〈もうちょっと追い込んでくれ〉

 俺の意図が分かったのかゼナは川の中を端から上流に向けて追い立て始めた。

 マスの背が見えたので水ごと川岸に移動させる。今度は一気に五匹だ。

 先に岸にあげたマスをジニーが捕まえようとしている。あーあ、ヌメリと泥でドロドロだなジニー。もう、ここまで汚したならあとは一緒か。

 ジニーに一匹、すでにゼナが食べ始めた一匹を除いて、五匹を亜空間収納しておく。


ダイモンマス

海から大門川を遡上してくるマス

本来はもう少し下流で産卵する


 ジニーが抱きついているマスを鑑定すると、こう出てきた。

 しかし、思いっきり汚してくれたな。マスもジニーも。

 俺はマスの口を爪で引っ掛けて、洗い場の岩のあった場所に行き、マスの表面の泥を水で落とした。ついでにジニーの服も脱がして、水洗いしながらジニーの体の泥とヌメリを取る。絞ったりはしない。亜空間分離で速乾燥だ。

 マスはここで捌くか。とは言ってもはらわたを抜くだけだ。塩焼にするぐらいの調理しかできない。腹にチョンと空間切断で切れ目を入れてワタを引きずりだし、収納しなおす。残りの5匹も捌いておこう。うち、二匹からは筋子が取れたので別に収納しておく。

 ゼナもマスを喰い終わったようだ。

 エレトンの家に戻りたいが、ゼナの体がこのままだと、土まみれになってしまうので亜空間でグルーミングして水分と土汚れを吸収、ごっそりMP取られたよ。

 濡れて乾いて体を冷やしてしまったので、エレトンの家に戻ってゼナの体にもたれて暖を取る。

 しばらく休んだので外に出て、俺はマス専用の物干しを作る。材料は先だって山で回収してきた針葉樹の枝だ。三脚を作ってその上に棒を横に載せただけのものだ。そこに口に革ひもを結んで取付け、尾を切り飛ばしたマスを吊り下げる。腹を切ってワタを抜き、前に焼肉途中に割れてしまった岩塩をこすりあわせて、粉塩を作り、マスに擦り付ける。そこそこ表面が乾いたら再収納だ。亜空間内は保存で劣化しないからそんなに丁寧な処理はしない。しかし、一匹だけは夕食用に吊るしたままにしておく。

 暇になったな。夕食までには、まだ時間があるのでナビーネと念話を試みてみる。

〈天候の具合はどうだい? ナビーネ〉

〈静湖に雪が積もりました。明日からここにも降るかもしれません〉

〈ほお、予報も出来るようになったか?〉

〈いえ、風向きの法則がまだ掴めません。半日後の予想程度です。それよりも気になることがあります。ここから南西六〇Km先にブタバナオークの集団がいます。〉

〈エレトンとかち合うのか?〉

〈進行方向はずれているのでまだ何とも〉

〈六〇㎞・・・俺が普通に飛んだら一時間半、空間移動しながらなら・・・〉

 練習して練習しておくか〉

 俺はリビングのゼナに念話をする。

〈すぐ戻る。表のマスはまだ食うなよ〉

 スタートダッシュから決めるか。俺は空間切断面をを二か所設定して上空に移動する。

 次に飛行しながら、手前と一〇km先に移動座標を決め、空中間を移動する。空間の断面積を大きく取っていれば、余裕をもって飛び込める。問題があるとすれば、飛び込む直前の周囲の風向きと風速だが、むしろ俺が全速で飛び込めば影響は少ないようだ。  

 俺は納得のいく検証結果が得られたのでエレトンの家に戻ることにした。

 戻ると、ゼナは言いつけを守っていたようで、マスは無事物干しざおにぶら下がったままだった。

 俺は料理をするための石や塩の板の準備をし、薪に火をつける。焼き方は肉と同じだ。塩の板の上でジンワリと焼く。ただし、今日はウェルダンだ。

 俺は台所で皿を借り、ゼナたちにマスが焼けたことを知らせる。

 ゼナは皿の上のマスをしばらく見てから食べ始めた。ここまで熱いとダメなようだな。ジニーには身から骨を取って、皿に載せてやった。微妙な顔をしていたが、全部平らげた。

 俺はこの世界初の魚料理を堪能した。マスと言うより塩しゃけだな。白飯が欲しい。

 ゼナには追加のマスを焼いてやる。頭さえなければ背骨からキレイに身をはがして食べるようだ。

 三匹食べたが、うち一匹は筋子持ちだったので焼いてみたが、イマイチだった。ゼナも食べない。メスはまだ収納しているので次は塩漬けの生に挑戦してみよう。


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