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ガトーは山羊飼いの達人のようだ

 エレトン家、三日目。一番の早起きはガトーだった。

 扉から出ようとする後ろ姿を失礼して。


ガトー(一四歳)

LV 二〇

人種 ヒューマン

状態 山羊の王

HP 一〇〇

MP 一〇


強 一九

速 二二

賢 九九

魔 九

耐 六七

運 二五

スキル

――――

風魔法・火魔法


 エレトンにパターンが似ているが、「山羊の王」? 山羊の主とか山羊の父とかじゃなくて? その若さで業を極めてるやん。

 これが中二か? 中二病なのか? 眼帯と包帯を与えるべきであろうか?

 俺は中二ガトーについていく。裏の山羊の柵に入って、木箱の中に俺が採ってきた塩の塊を二㎏くらい一個ずつ置いていく。もう一つの柵の中の箱に塩を置いたガトーが俺に気付く。

「昨夜はありがとね」

 と、言うガトーに俺は右手を挙げてあいさつ代わりにする。

 ガトーは木の桶を持って来て、柵に括り付けた牝山羊の乳を絞り始める。あまり多くの量を採れないようだ。桶を持って直ぐに家に戻る。俺は乳しぼりの終わった山羊が糞をポロポロ落とすのを見逃さなかった。俺がやると、桶の中は糞だらけになりそうだ。これが山羊の王の仕事、く、侮れぬ!

 家の煙突から煙が出始めたので、俺も火を焚くことにする。ひと晩放置していた焚火の後の塩の板は二つに割れてしまっていた。俺は板を取り換え、枯れ木を燃やす。・・・肉より薪の方が先に無くなるな。エレトンの家の外壁に沢山並べてあるが、あれは大変な労働だったはずだ。勝手に、どころか、断って貰うのも憚られる。山に取りに行こう。

 炎が安定した頃を見計らってか、ゼナが外に出てきた。俺は肉を焼き始める。今朝は骨付きだ。ジニーが出てこないのは、また朝の食卓に御呼ばれしているのだろう。

 ゼナがバリバリゴリゴリと肉と骨を食べていると、エレトンがお椀を持って出てきた。俺にお椀を渡してくれる。俺は木の枝を使いながら白い汁物を啜ってみると味はシチューだった。カブとオオヤマカモシカの黄色いシチューはあからさまに山羊の匂いがしたが、異世界に来て初めての手の入った料理であり非常に美味しかった。

「あんたが、教えてくれたミズアオイは実は殆んど山羊が喰わなかったんだ。昨日は徒労に終わってがっかりしてたんだが、あの塩のおかげであと、二〇年は安心だあ。助かったよ」

 ミズアオイを食わなかったか、下流の方にあったから辿り着く前に山羊の腹が太ってしまったかなあ。食べ終わった椀を受け取ろうと手を出したエレトンの手の平にケンポナシの実を一〇個ほど置いてやる。

「何だこりゃ、変な形の実だな?」

 見たことないのか? そういえば立木の上の方にしか残ってなかったな。量はかなりあったのだが。俺は一個だけ摘まんで食べ、エレトンも食べる。

「こりゃあ、リンゴンか? 山梨か?」

「ケンポナシって何?」

 モニータがジニーを抱いて外に出てくる。説明の中継に俺が念話で知らせたのだ。

「ケンポナシ?」

 エレトンがもう一個食べる。モニータも食べる。ジニーは経験者なので左右に分かれた実を交互に食べる。その隙にエレトンの手の平のケンポナシを全部ゼナが平らげてしまった。

「「ああああああ!」」

「甘かったのにい!」

〈だから、ゼナも好きなんだよ〉

 俺は追加のケンポナシをエレトンとモニータに分け与えた。

〈ゼナの前で食ってると、また取られるぞ〉

「うん、家の中で食べる」

 モニータに続いて、エレトンも家の中に入って行った。

 ゼナもまだ食うかな・・・と思ったら、ジニーに授乳していた。

 

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