クマにも事情があるようだが、用事は一日行程だったようだ
誤字報告ありがとうございます。
俺は角度を変えて牡熊を見るために、ジニーを連れて宙に浮いて崖の中腹沿いを飛んで近づいてみて鑑定していく。
ミカヅキグマ(一三歳)
状態 若ボケの若禿の熊の里の牡序列一位
LV 一五
HP 一三〇
MP 〇
強 二一五
速 二五
賢 一五
魔 〇
耐 二九九
運 一〇
スキル
吠え声
「ズプァッ!」
思わず吹き出す俺。
若ボケの若禿? 確かに目の焦点がおかしい。頭の皮が剝き出しだ。
ミカヅキグマ(八歳)
状態 熊の里の牡序列二位の間男
LV 一四
HP 一八七
MP 〇
強 二五〇
速 三三
賢 二五
魔 〇
耐 二六九
運 三〇
スキル
爪・犬歯・舌
序列二位は間男かよ。こいつ生かしといていいのかよ、若禿。
ミカヅキグマ(一三歳)
状態 欲求不満の熊の里の牡序列三位
LV 六
HP 九七
MP 〇
強 一五〇
速 三三
賢 五
魔 〇
耐 一六九
運 三
スキル
爪・犬歯
こいつ、こないだ逃げたやっちゃ。
ミカヅキグマ(一〇歳)
状態 欲求不満の熊の里の牡序列四位
LV 八
HP 九九
MP 〇
強 一三〇
速 二八
賢 六
魔 〇
耐 一五〇
運 二
スキル
爪・歯
こいつ、見捨てられたのにまだ一緒にいるの?
ミカヅキグマ(一〇歳)
状態 苦労性の熊の里の牡序列五位
LV 九
HP 一二九
MP 〇
強 一五〇
速 三〇
賢 一六
魔 〇
耐 一七〇
運 七
スキル
爪・歯
苦労性って、社畜か何かか?
序列三位と四位が前回と同じように、二頭で吠え始めた。「ヴォオオオ」「ヴォオオオ」と五月蠅い。
若禿がゼナの前に来て立ち上がる。まあ、ボケてるから力量差が分からんのだろうが。
ゼナは軽く足元の岩に爪を突き入れ、岩塊を若禿ごと前方にひっくり返した。岩の板を抱えたまま仰向けにひっくり返る若禿。他の熊は潮を引くように逃げて行った。
若禿は半分岩の下敷きになって藻掻いている。ゼナは岩に爪を突き刺して崩壊させると、若禿は岩のかけらから体を引きずり出して、その後は体を引きずって逃げて行った。痛そうだけど、命があって良かったね。
しばらく、谷の底を進んで行くと、熊の間男が戻ってきた。鼻を地面すれすれに下げながら近づいてくる。争うつもりは無いのだろう。ゼナも鼻を下げている。
二頭は並んで歩き始めた。何かを話しているのか、確かめ合っているのかって感じだ。間男が立ち止まり、地に伏せのポーズをとる。ゼナはしばらく間男を見ていたが、横を向いてそのまま崖を登り始めたので、俺たちも崖を上に向かって飛びながらついていく。
振り向くと間男は名残惜しそうにこちらを見ているが、ついてくる気配はない。二頭の間で話はついたのだろう。
ゼナはあっという間に尾根まで登りきる。その後尾根沿いに進むのではなく、一気に谷に降り始めた。降りるというよりは転がり落ちる勢いである。実際斜面で横転したりしていた。谷まで降りきるとエレトンの家までダッシュである。走り方を見る限り無茶な落下でもなかったようだ。原付より遅い速度ではあるが、二時間ぶっ続けだ。マラソン大会に出れるな。熊のスタミナすげえな。「耐」九九九と「強」六一〇の相乗効果か?俺の飛行も「強」「速」「魔」の複合作用でついていってるもんな。ちなみに俺はジニーをも前抱きにして飛んでいる。頭肩と尻を支えて抱いていると寝てしまったジニー。俺が寝かしつけたのは初めてではないだろうか。
放牧地に入ったのでゼナは走るのを止め、歩き始める。だいぶ日は傾き始めているが、今日中にはエレトンの家に着くだろう。
ジニーが起きたので、俺はゼナの背中に置いておき、歩かせながら魔法グルーミングをする。このまま、家の中に入らせるわけにはいかないからだ。とは言っても、いつもと違って汚れているのは表面だけなので風魔法にはあまりMPを振っていないから楽なもんなのだ。
俺がゼナの体に張り付いてグルーミングしていると、家についていたようだ。
「おっかさん! ザンザたちが戻ってきたー」
迎えてくれたのはモニータの元気のいい声だった。




