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塩を探しに行ってみよう

 おとッつぁんとガトーが戻ってきた。

「はああ、何とかなった」

「でも、おっとー、あんなの何日も持たねえよ。次の予備が最後だし」

「でえ丈夫だ。最悪きらせても直ぐに山羊の調子が悪くなるわけじゃねえ」。

〈モニータ、おとッつぁんの名前は?〉

「エレトンだよ」

〈エレトンだよ〉

〈エレトンに伝えろ。山羊を連れて川に行けと〉

「おとッつぁん、ザンザが山羊を川に連れて行けって」

〈ミズアオイを食わせろ〉

「ミズアオイを食わせろって」

〈青い花が咲く、浮袋を持った草だ〉

「青い花が咲くの。浮袋を持ってる草なの」

〈水に溶けた塩を少しだけど含んでいる〉

「水に溶けた塩を少しだけどふくんでいるんだって」

「お、おい、今のは?」

 絶句していたエレトンが復活する。

「やっぱ、神託かねえ? モニータがザンザと声を出さないで話が出来るんだってさ。念話って言うそうよ」

「ねえ、あたしたちも食べたら塩を食べれる?」

〈いい質問だ。食べても泥臭くてまずい〉

「ええー、まずいの?」

 以下モニータの訳。

「よく乾かして? 灰になるまで焼くの?」

「灰は水に溶かして? 鍋の中で水が無くなるまでニツヅケル?」

「鍋の底に灰と塩が出来る。良くかき混ぜて灰だけ吹き飛ばすの」

「水に溶かし、二、三回繰り返して、鍋の底に塩のケッショウが出来るようになると出来上がり?」

「採れる塩は焼くミズアオイに対してワズカナものになるだろうって」

「それじゃ、その仕事に一人掛かりっきりになっちまうじゃないか? うちの暮らしじゃあ、ちと無理だねえ」

「しかし、山羊の塩分補給がタダで出来るようになったのは大きい。神託に近いお告げだ」

「おっと-、こんな話信じるのかよ?」

「普通なら疑ってかからなきゃならねえが、さっきの話の通り、ちゃんと確かめる方法まで出てきてる。教会の奴らの迷信よりは、ずっと信用できるってもんだ。今日の放牧は多門川を下りながらだ」

川に名前があるのか。

〈モニータ、エレトンに聞いてくれ、下流で合流する川の名前は何かって〉

「おとッつぁん、ザンザがカリューでゴーリューする川の名前を知りたがってる」

「川か? 合流してるこっちは多門川、上流は門前川、下流は大門川だ」

「門前川の上流にある湖の名前はなーに?」

「あそこは静湖って呼ばれているが、そうか、お前さんたちはあっちの上流から来たんだなあ」

 エレトンたちはマロンの配膳した朝食を食べ始めた。昨夜の野菜の煮物に別の鍋で煮込んだオオヤマカモシカの肉を継ぎ足して盛った一椀だけの朝食だった。

 俺は授乳が終わったゼナが興味を持つ前に外に連れ出し、昨日と同じ場所で焚火をして肉を焼く準備をする。

「ジニーも食べる?」

「いま、飛んできたよな」

「昨日から飛んでるだろ」

「カブ? お肉? カブね。ふーふーふー、アーン」

 中でジニーは上手くやっているようだ。

「ゼナ」

〈塩って知ってるか? 多分白い岩の塊だ。舐めると尿よりしょっぱい〉

「クフー」

〈ここから近くにある?〉

「クフー」

〈今日、取りに行ってもいいか?〉

 ゼナは奥屋の扉を見る。

〈ジニーも連れて行く〉

「クフー」

 今日もレアに焼けた肉を食べる。オオヤマカモシカは大きかったので、まだまだ残っているのだ。

 もう食い溜めの必要がないのか、ゼナの食う量はかなり減ってきたが、堅い肉でしかも咀嚼するほどに美味しいので、ゆっくり食べている。


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