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結局、俺たちは迎え入れられるようだ

オオヤマカモシカの肝臓は俺も堪能している。ゼナの食い分の半分程度だが。アウトホーンゴートに比べて血臭が気にならない。旨味が濃厚で、臭みがマイルドだ。甘くはないのだが甘く感じる奥深さがある。この美味さの原因は肝臓の中で浄化された血液が鮮度を保っているからであろう。つまり、俺の亜空間内では時間が停止しているようだ。

 家の中でも俺の収納能力の話題になっているようだ。

「みんな、よく聞け。ザンザの収納のことは絶対に言っちゃならねえ。誰にもしゃべっちぇならねえ。あいつが「収納持ち」だってことが知れたら、いろんな奴が捕まえようとするだろう。人死にの出る争いが起きる。でな、間違いなく俺たちゃ巻き込まれっちまう。だから、ここで、オオヤマ様のレバーを食べたことは秘密だ。レバーのことをしゃべっちまったら、どこで手に入れたのか、どうやってレバーの鮮度を維持したのか、厳しく取り調べられるだろう。正直にしゃべっても解放してくれるとは限らねえ。わかったな。今日の晩飯はここだけの秘密だ」

「ちょっと、あんた。そんな御大層なもん頂いちまってぇ、取り返しがつかないじゃないか?」

「美味かっただろう。危険を承知で食うだけの価値はあったさ。一生に一度の贅沢だと思え」

「ジニーちゃんはいらないの? カブの方が好き? フーフーして食べるんだよ」

 おお、ジニーが文明食を食べているようだ。良い経験をありがとう。

「ガトー、それはモニータのだ。手えだすんじゃねえ。モニータ、レバーは食っちまえ」

「この甘い肉は秘密なんだね」

「そうだ。内緒だ」

「あれまあ、この子、ちゃんと歯が生えてるよう。やっぱ、人の子とは違うんだねえ」

 ええ、乳より先に兎の頭蓋骨かみ砕いてましたから。人化の前だけどね。

 カチャカチャと食器の音がするから食事は終わったようだ。

「どれどれ、あらあら」

 ジニーはマロンに何かされているらしい。

「意外ときれいな髪と頭だねえ。ダニもノミもいないじゃないか」

 それならベッドで寝かしてもらえますか?

「しかし、こりゃあ、何の服だろうねえ? 随分着込んじゃってるねえ。ちょっとお待ち」

「モニータの産着がまだ・・・・・・ああ、あったけど、その羽を出さなきゃならないとなると、潰すしかないかねえ」

 孫にでも使い回すつもりだったのか、すまんねえ。

 肝臓は全部食べてしまったので、俺は家の中に入って行った。ガトーがチラッと俺を見たが、何も言わないので、マロンの声がする隣の部屋に行ってみた。

産着を着せられたジニーがマロンに抱き上げられていた。鯉のぼりに入って顔を出した子供のようだ。本来はあの足から余った布を巻き付けて乳児を保護するのだろう。

 マロンは産着を脱がしてナイフで布を切り始めた。ハサミじゃ無いのはそういう時代なのか、ハサミが高級品なのか。

「体も綺麗だねえ」

 でも、臭いでしょ?

「ママクマ・・・ゼナが舐めてくれてたねえ。世話の上手なママで良かったねえ」

 俺もケアしてるんですよ。髪と翼メインですけど。

「おむつ、なくていいの?」

「ああ、たぶん、うんちはゼナが舐めとってるんだろう」

 ああ、やっぱ分かっちゃいます?

「えええ、うんちを?」

「けものはみんなそうさ。赤ん坊のうんちを舐めて子の腹の調子を親が知るんだ」

 だから、ジニーがゼナに懐くわけだよね。

 床が軋む。ゼナが入ってきたが、おとッつぁんも黙認してくれたようだ。

 ゼナは最初にジニーに授乳した床に伏せて陣取ってしまった。

ジニーは産着改を着せられて、母娘が目を離したすきに俺のところに飛んできて、もとい跳ねてきて、ゼナを見つけたら飛び石でゼナの所に跳んで行き、脇のあたりで張り付く。空中移動上手くなったなジニー。

「うー、一緒に寝たかったのにい」

 そうだね、俺もモニータと一緒に寝てるジニーを見たかったよ。

 俺は、ゼナの頭の横に座った。

 おとッつぁんは俺の前に立って言う。

「御馳走をありがとよ。隣室にはゼナを入れないでおいてくれ」

 俺は頷き返す。

 ゼナの脇で寝ているジニーを羨ましそうに見ているモニータをおとッつぁんは連れて隣室に入って行った。ガトーは扉に閂をかけてそれに続く。

 その時始めて俺は部屋の明かりが魔道具の類であることに気づいた。スリガラスの円柱の中でウズラの卵のような物が光っている。今夜はこれは消さないようだ。


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