ゼナは別格で強いようだ
川が別の支流と合流する場所に来た。ゼナはその別支流に沿って上り始めた。川を逆上るのは初めてだ。
この川岸は野生動物が豊富だ。魔物ではないのだろう、姿を見せてはすぐにいなくなる。鹿か? 山羊か? 角が短い牝なのだろうが、鑑定を使う前にいなくなる。体が万全なら狩ってしまうのだが。まあ、今日一日ぐらい見逃しても良いだろう。山羊も狼も肉は残っているのだ。
ゼナはどこを目指しているのだろうか? まあ、俯瞰偵察も明日だ。
夕暮れなので、火を焚き肉を焼く。
今日はゼナはあまり食べず、授乳に専念している。もしかしたら、野生では獲物は週一程度で食い溜めできているのかも知れない。
眠ろうかなと思っていたら、何か近づいてくる。大型動物が二頭だ。
ゼナが起き上がったので、俺はジニーをゼナから引き離す。
現れたのは熊だな.二頭共全長、全高はゼナより小さいが、どっしりしていて骨太だ。
両方牡か。
ミカヅキグマ(一三歳)
状態 欲求不満の熊の里の牡序列三位
LV 六
HP 九七
MP 〇
強 一五〇
速 三三
賢 五
魔 〇
耐 一六九
運 三
スキル
爪・犬歯
ミカヅキグマ(一〇歳)
状態 欲求不満の熊の里の牡序列四位
LV 八
HP 九九
MP 〇
強 一三〇
速 二八
賢 六
魔 〇
耐 一五〇
運 二
スキル
爪・歯
「プフッ」
俺は思わず噴き出した。情報量豊富過ぎるだろ牡熊! 欲求不満? 熊の里? 序列四位ってことは最低でも四頭いるコロニーがあるのか?
ゼナは前に出て牡熊を見据える。牡熊はゼナを横目で睨んだり、近づいたり離れたりしたが、やがて二頭で吠え始めた。「ヴォオオオ」「ヴォオオオ」とやかましい。
一頭が立ち上がり攻撃態勢を取った間に、もう一頭がこちらに回ろうとする。その左に回り込む熊に、ゼナは「裏爪」を放つ動作をした。地面が大きく抉れ、牡熊に土が覆い被さる。それだけで左の序列四位は身動きが取れなくなった。それを見た序列三位はそそくさと逃げて行った。
四位を見捨てるんかい!
もがいている序列四位は前足後ろ脚が自由になると、土の山から抜け出して逃げて行った。
ゼナは明らかに土魔法を使いこなしてきている。良いことだ。
まあ、俺よりHP低い熊って何なんだよ。しかし、俺はともかくゼナって強いのな。同種のあいつらに比べて別格じゃん。
とにかく寝るか。




