雨~雹~雷~鉄砲水~なんとかやり過ごせたようだ
誤字報告ありがとうございます!
続投に大変はげみになりますね
雨はやがて強雨となり崖を伝って流れ水が垂れ始める。ゼナは洞を広げる時に地面を底上げしてくれたので、こちらに水が浸入してくることはない。
周囲が一気に暗くなった。まだ夕暮れではない筈、これは雲の厚みが増しているのか?
急激に雨量が増える。雨は大粒どころではなく、氷の粒となり始めた。雹なんて前世でも経験したことないよ!
空が光る。俺はカウントをとる。一五秒で雷鳴が響き渡った。五キロ以上離れている割には音がでかいな。また光る。二回のフラッシュだ。カウント九で雷鳴が来る。音もでかいが鳴る時間も長い。ジニーがびくついて固まっているし、泣いている。
うわあ、ジニーの涙、初めて見たよ。
しかし、雷は近づいているかぁ。俺はジニーを手で抱き寄せて、翼で頭を覆って構える。ゼナは震えているが、これは怖いのではなく筋肉を震わせることで体温を上げているのだろう。実際ゼナの背中は暖かい。
空が三度光る。三秒で雷鳴だ。今度はドンゴロゴロではなくバーンと炸裂音にガガゴゴと地まで震わせる勢いだ。
更にまた、光る。
「ヒヒャアアン!」
ジニーがかわいい声を上げるとともに、炸裂音と雷鳴と地響きが轟く。
うーむ、これは確かに〇歳児には強烈なトラウマを植え付けるかもしれない。
「ジニー」
〈これは雷と言って単なる放電現象だ。空の下にいなければ大丈夫だ。雲が上に見えない所にいれば大丈夫だ。こうしてゼナが作ってくれた穴にいれば大丈夫だ〉
俺はジニーの頭をなでながら諭してみる。
「ダイジョー?」
〈ああ、大丈夫〉
と言った先から光りながら雷鳴が轟く。
「ヒッヒャン!」
ジニーが怯えながら悲鳴を上げる。
〈かわいいなあ! それ!〉
俺は、ジニーをさらに抱き寄せて、念話する。
〈だから、あれは雲の上の方とこの真上にある低い雲と地面の電位差で発生してるだけなんだ。大したことは無い。どういう風に大したことがないかと言うとだな、『あたらなければどうということはない!』って有名な大佐殿が少佐時代に行った言葉のとおり、当たらければいいんだ。当たらなければなあ〉
雷は光に対して雷鳴が遅れる幅が広がりつつあり、ここから離れていっているようだ。雨脚も緩くなってきている。
しかし、ゼナは警戒を解こうとはしない。雨上がりに警戒すべきこと……か、あったな。
俺は地を這う音を聞き留めていた。それは次第に大きくなり地面を震わせるほどになっていた。
俺は崖の洞の前に2枚の空間切断面を作る。直角3角形2枚を縦に張り合わせて、下側一枚目は外からくるものを吸い込み、上側2枚目課は外に向けて吐き出すように組み合わせる。
此方からは黒い壁が洞を覆うように見えて外は見えないが、左右の隙間を完全に埋めることは出来ないので、その隙間から外の地面を砂と石が流れ始め、更には急激のその高さを増して通り過ぎていくことが伺い知れた。
やがて洞の前の音だけが不自然な擦過音を出し始めるが、それもすぐに止まったのだった。
「ジニー」
〈最後は地滑り、いや、鉄砲水だったか〉
「ゼナ」
〈まだ、来そうか?〉
「クフー」
ふむ、「クマッ」って鳴かないことは大丈夫か。
俺は空間切断面を解除する。その途端そこそこの土砂が足元に流れ込むが、俺たちのいる高台を埋めるほどではない。
崖の前の地面は砂と石が不安定な形で並び、その下を土色の水が流れている。
目の前では変な盛り上がりが横に連なっている。その端の手前にブタバナオークの死体が二体折り重なっている。残り三体は流れていってしまったようだ。しまったな、さっさと魔真珠だけでも回収しておけば良かった。
俺はブタバナオークの一体を重力魔法で持ち上げ、土の中から取り出し、空間切断で脇のあたりから輪切りにする。魔真珠を取り出し、肺と横隔膜を引き剥がすと、何やら黒い肝臓が見える。これは食わない方がいいよね。肉も諦めよう。
こいつらの痩せ具合、なんか悪い薬でもやってるのかも知れない。
もう一体も魔真珠のみを回収する。
申し訳ございません。明日の投稿は遅れるか、飛んじゃうかも知れません。




