表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/125

野生の雨宿りは大変なようだ

 俺は川岸の岩の上で亜空間の中を窺ってみる。

 うわっ、この一列に並んでるの!ゼナの抜け毛? シュールだなあ。

 俺は取り出して、川の中に廃棄した。いいよね、違法廃棄じゃないよね?

 消費MPは一だった。良かった!あれカウントされたら数千の消費だよ。

 ノミは、ウヒャー、これも酷いな。一列並ぶと延々と続くヤスデの体みたい、大小差があるのが不気味だよね。ちなみに小さいのに極細まで観察できるのは亜空間チートのおかげだ。

 ノミと、ダニは別の列だ。もう一列なんか短いのがある。色が薄いのアレはシラミだという?

 それらを川の中に投棄すると、水面がざわつく。おお、魚が食ってる食ってるマスか、アマゴかな?

 一仕事終えた俺は、元の岩の上にいるゼナとジニーに合流する。


 再出発してゼナの様子が急変した。何か焦っている。

 俺たちを振り返りながら走ろうとする。

「クマッ、クマッ」

 久しぶりに聞いたな、その鳴き声。

〈ナビーネ敵が来ているのか?〉

〈いいえ、周辺は静かなものです。外敵どころか獲物もいません〉

 ゼナは森の中に入り、斜面の急な所を何か探しながら移動している。そして崖の下に沿って走り始めた、俺はジニーに重力魔法を使わせて飛行しながら追いかけている、

「ゼナ」

〈おい、そっちは!!〉

 俺が焦った念話を送ったのは、その進路の先には明らかな敵の反応があったからだ。

〈ブタバナオークです〉

 その、ブタバナオーク五体は岩場の窪みの周囲に散開していた。

 ものすごい勢いで突進してくるゼナに大慌てして、武器を構えることが出来たのは一体だけだ。と、いうか、武器を持った敵って初めてじゃないか!

 二本足の魔物に体当たりをかまして吹き飛ばし、反動でもう一体が巻き込まれ、岩の壁に叩きつけられていた。次いで近くにいたのは武器、石斧を持ったオークだった。

 あれがオーク? 俺はイメージとのギャップに具に観察してしまった。顔は種名のとおり、豚の顔だ。丸い輪郭にブタバナがついて上下に短い牙、犬歯を持っている。しかし、体はやせ細り茶色い皮膚を持った貧相な裸族のような姿だった。

 石斧を振り上げることが出来ただけで、ゼナの爪による下からの弾き上げにその身は分断されてしまった。

 ゼナ、うまく新技を実戦投入出来てるじゃない!

 ゼナはもう一体を仕留めるべく接敵している。俺は逃げる最後のブタバナオークを空間切断で切り飛ばす。

 ゼナが襲っていたオークは大した抵抗もできず、爪落としで叩き潰されていた。

 俺は周囲を確認する。最初に弾き飛ばされたブタバナオークはすでに絶命していた。巻き込まれた奴は、まだ息があるが意識はない。起こして意思疎通できるかどうか試すか――― ゼナが戻ってきて問答無用でブタバナオークの頭を叩き潰してしまった。

 ゼナは崖の洞にあるブタバナオークの収集品を引きずり出し、放り捨て、洞を拡張し始める。洞の壁をガリガリ、バリバリ広げている。あれ、土魔法だよね。ゼナはほとんどアナグマ。

 ゼナは殺したブタバナオークには見向きもせず、ジニーの服の裾を咥えて/くわえて洞の中に引き入れ、次いで俺を頭で押しやる様にジニーと一緒にする。

 その時になって俺は雨が降り始めたことに気づいたのだった。

 そうか、ゼナのこの慌てぶりは雨宿りしたかったのか。しかし、俺たちはこのゼナの雨宿りが本当に緊急事態であったことを、しばらくして理解する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ