朝駆けしてきたのは山羊のようだ
俺たちは移動を再開した。MPを節約したい俺は、初めてゼナの背中に乗った。意外と安定性がなく、動く筋肉に、毛皮も滑って、すぐに落ちそうになる。思わず爪を立ててしまったが、ゼナは気にしている様子はない。「耐」九九九は伊達ではないということだろうか?
ジニーは固そうな背骨の上でしっかり跨っている。重力魔法を時々使って滑り落ちそうになったら位置を修正している。大したもんだ。
川を下って、夜になったのでビバークすることにした。
肉の確保は出来なかったが、野外で外敵と戦わない一日というのは初めてだったな。
まだ、狼肉はあるので、今夜も焼肉だ。この肉、かなり不味い筈なのだが、腹は減っているので気にしないで食べることが出来ている。ゼナはジニーに授乳しながら俺の与える肉と骨を食べている。食べる量は毎回減ってきているようなのだが、昼間に果実を食べているので大丈夫なのだろう。
その後はゼナにもたれて就寝だ。臭いはとかく、ダニノミ対策の目途が立ったので俺もジニーと一緒に毛皮の体温に包まれて眠ることにした。俺も零歳児なのだ。甘える親代わりがいてもいいだろう。
俺は耳で雑音を捉えて目を覚ました。
〈敵はアウトホーンゴートです〉
「ゼナ!」
俺は尻尾をゼナに打ち付ける。少々強めだが堪えることは無いだろう。ゼナはジニーを覆いこむように起き上がる。
「ゼナ」
〈それでいい! ジニーを頼むぞ〉
敵?が向かってくる方向は森の中だった。俺は応対するために飛び上がり羽ばたいて森に突っ込む。敵の位置を掴むのだ。
敵は立ち止まったようだ。そして、石というか岩に近い塊が飛んできた。俺は樹上に飛んで軽くかわす。その時気づいたが辺りは明け方、少し白んできており、木の陰から何とか敵が見える状態だった。
敵は頭を下げ、そして跳ね上げる。さっきより小さい岩塊が俺を狙って跳んできた。魔法じゃねえのかよ! 俺は今度は下方に降りながら岩を躱し、さらに接敵する。
見えてきたのは、なるほどアウトホーンゴートだった。アイベックスやロングホーンのオオヒツジに折れた角が逆向きに刺さったような生え方をしている。その角を器用に地に転がった岩を跳ね上げてぶつけてくるのだ。
座標を正確に把握できれば、俺の勝ちは確定だ。空間切断を発動してアウトホーンゴーストを両断する。余裕があったので、今回は縦割りだ。アウトホーンゴートは左右に分かれ、二本足ずつになって倒れていった。
一息ついて俺は周囲の音を拾う。アウトホーンゴートの痙攣する音、風の抜ける音、遠くで虫のなく音、ジニーとゼナの呼吸音、川沿いで鳴く鳥の声。この周囲の鳥は逃げたのか息をひそめているのか、探知することは出来ない。
安全を確認したので、俺はステータスを確認する。
ザンザ・ガンガ(零歳)
LV 三四
人種 竜人 、
状態 ラウドズライグ
HP 一八五
MP 二八六(三三九)
強 四二
速 七二
賢 一八五
魔 二五七
耐 四五
運 五一
スキル
強発声・強化爪・鑑定眼・ふりおろしっぽ・音索敵
空間魔法・重力魔法・風魔法・火魔法・土魔法
今回のレベルアップで思ったこと、レベル補正少なくない? でもまあ、やっと索敵が生えたか。
俺はアウトホーンゴートを収納して、ゼナとジニーの許に戻った。




