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鷲襲来、ゼナの恨みは深いようだ

結局、その1万ポイント還元セールは4人のみにしておいた。

他のオークたちが望めば与えるつもりだが、牧場に帰って先に信者のエレトン一家にポイントを振る心づもりだ。

しかし、使徒?

俺が?

異世界転生して女神ポイントで新興(カル)宗教()活動?

何やってんだか?

てなことを考えて空から牧場近くの草原に転移する。


転位して何気に索敵。

なんと、引っかかるものあり!

空から?

鳥?

俺より上空を旋回しているのは鷹か?

いやもっと大きい、鷲か。

下には山羊が見える。

鷲なら山羊を攫って行かれてしまうか?

いかん、本当に狙っている。

鷲は急降下をはじめた。

翼長は2メートル以上あるか。

全身黒色の羽で嘴と足首から下の爪までが黄色い。

俺は空間移動で山羊たちの間の空中に移動し、正面下から黒い鷲の羽を蹴り上げる。

「キエエエエー」

「いってえー」

鷲の翼は堅かった。

「キイーエー」

滑空状態から上昇すべく羽ばたいて鷲は大きく旋回しながら上昇する。

なるほど上を取る意味が分かった。

降下しながらの旋回襲撃速度が、速い!

俺は翼をたたんで降下する。

重力魔法で体重増加しながらなので不自然な勢いの付いた降下だ。

〈タエ! 仔オオカミを隠せ! 鷲だ!〉

〈キャイン!〉

タエも鷲が怖いようだ

〈モニータ! ジニーや人の赤ん坊もだ! 家の中に避難!〉

〈ええっ!? カルママ! ザンザが鷲だって〉

うまく、対応してればいいが、しかしカルママなんて呼ばれてるのねカルナ。                

鷲が俺に迫る。

俺の足より大きく鋭い爪が伸びてくるのを、横にひねって躱す。

しかし、あの爪と嘴は脅威だな。

地上を一瞬だけ確認できたが、山羊を連れているのはガトーとハガネのようだ。

山羊を一カ所に集めようとしているのかな。

とにかく気づいてくれて良かった。

俺は羽ばたきながら重力魔法で体重を軽くし、急上昇する。

練習していて良かった。

体重を軽くしつつ羽ばたくとバランスを取るのが難しいのだ、これ。

鷲は旋回しつつ上昇して俺に迫る。

ゆっくりした羽ばたきに見えて、中々に速い!

空間切断面の座標設定は難しそうだ。

1度外すと2度目は警戒されてしまうだろうし。

近づきかけた鷲は距離を取り始めた。

俺の後ろを取ろうとするか。

追いかける形で肉薄しようとする鷲だが。

俺は主翼をたたんで真下に向かって体を折り、副翼の勢いで急旋回する。

「鳥とは違うのだよ。鳥類とは」

そうだ、真下に背を向けて推進を得ることなど鳥には出来まい。

勢いを削がれた鷲は翼をばたつかせ横旋回しながら下方に回った俺に爪を伸ばそうとするも、俺は間に亜空間の三角面を挟み込む。

これなら俺固定だから、タイミングを取りやすい。

亜空間に入れない鷲は黒い壁に弾かれることになる。

「キイエエエエエー」

大きくバランスを崩す鷲。

ここで空間切断だ。

やはり体の中心を狙うことは出来ずに片翼の半分をもぎ取るのにとどまったか。

空中に鷲の羽毛が散らばり舞っている。

鷲は翼をばたつかせながら錐もみ状態で落下していく。

俺は鷲から切り落とした片羽を空中で掴んで、本体から距離を取りながら降下する。

地面に痛めた方の翼を下にしながら着地だか激突だか分からないような落ち方をする鷲。

言って聞かせることが出来るなら治療してやろうかと思ったら、ゼナが突進してきた。

止める間もなく爪落としで鷲の頭を叩き潰してしまう。

うわあ、顔面の皺の寄り方が怖すぎる。

初めて見るなあ、こんなゼナ。

積年の恨みでもあったか?

鷲の死骸を鑑定してみる。


クロワシ

状態 子攫い常習犯の死骸


死んでいるせいかレベルやステータスは分からない。

子攫いの常習犯ね。

〈仔をこいつに攫われたか? ゼナ〉

ゼナは俺に頭を擦り付けてきた。

「クヴォ~、クヴォ~」

〈泣いてるのか?〉

ってゆうか、ゼナの悲しみがわかる、伝わってくる。

「よしよし」

俺はゼナの頭をなでてやるーというより、爪で擦ってやりながら、頭の潰れた鷲の死骸や羽を残さず収納していった。

〈鷲、食べるか?〉

「クマッ」

そうか、食わないかあ。

「ザンザ!」

ツルギか、見られていたようだな。

「鷲は?」

「死んだから、収納した」

「尾羽を売ってくれないか?」

「あとで、ゼナから、見えない所でな」

俺はゼナの上にまたがった。

ゼナはエレトン家に向かって歩き始める。

「鷲が嫌いなのか? この熊」

「以前、仔熊を鷲に攫われたらしい」

「そいつはご愁傷だったなあ」

「今回はヤギの仔が狙われていた」

「それで、お前から仕掛けたのか?」

「いや、邪魔するだけで良かったのだが、怒らせたようだ」

「食物連鎖頂点の種の狩りを邪魔したらなあ」

「頂点か、よくも勝てたものだ」

「お前が、空を駆け上ったり、回ったり、地面すれすれを繰り返したりって、アレ、大事な訓練だったんだなあ」

「全くだ」

前世の航空機の戦闘知識がなかったらヤバかったかもしれない。

「運」103の影響も無視できんな。

「ツルギ、戦いに於いて、武、運は大切だと思うか?」

「武運か、大切だな。母上がよく言っていた。戦いに於いて武運は大事だがそれ以上に大切なのは強い敵の場合の運気の見極めと互いに作用する状況把握だと。天秤と言っていたがな」

「微、妙な動きで変わる戦況か。元帥の言、葉、らしいな」

「お前みたいな年端も行かない奴が母上の戦訓を理解するとは。やはり、お前、ただの竜種ではないな?」

ぬ、魔族でない事、バレていたか。

「だとしたら警戒するか? た、び、の随伴は反故になるか?」

「今更だな。反故にするつもりはねえよ。お互い旅立ちのタイミングを合わせる必要はあるだろうがな」

「待ってくれ、警戒を皆の警戒を解いてもらおう」

もうこの周辺で空を飛んでいるものはいないのを確認して、タエとモニータに念話を送る。

〈モニータ、タエ、危険は無くなった。外に出て良いぞ〉

〈ウワン、わかった〉

〈カルママ、おっかさん、もう出ていいって〉

ちゃんと隠れていたようだな。


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