家族意識が確認されたようだ
数日掛けて、石材で並べ替えながら間取りを決定して基礎と土台を組み上げて、木材をログハウス風に組み上げようと言う事で、材を一旦亜空間外に仮組みすることにした。
普通の重力下で組んでみないと色々問題が出てくるようなのだ。
実際、竈と煙突周囲が重すぎて地面にわずかに沈み込んだだけで全体を見直すことになったりもした。(キレイに石材が並びません)
という訳で別の場所を更地にして仮置きしながら考察中。
材は30㎝角の長さ様々な角材。
当初はこれを相次ぎにしながら適宜(適当に?)組み上げていくつもりだったのだが、角材同士の組み合わせは精密さが要求されるようで、棟上げ時に歪みが各所で邪魔をして支障をきたしていた。
結局、ガタついて、材がズレたりしなければいいだろと繋ぎにホゾを穿って四角い杭を仕込んだりして補強した。
そんなある日の夕刻、棟上げ後の新築をエレトンが神妙な顔で見上げながら訊いてきた。
「なあ、これ、俺たちが住むための住居だよな」
「他にここに来る奴がいるのか?」
「いや、そんなのはいねえが、これほとんどお前が造ったよな」
「あんたの家はあんたで作りたかったか?」
「そういう訳じゃ、そういう気分はあったが、とてもこんなものは俺じゃ作れねえ。材料の調達からして無理だ――じゃなくてだな。ああ、もう、はっきり言おう。こんなの作ってもらっても金がねえ! 対価が払えねえんだ」
「ああ、そういうことか。これ俺の家だから、対価なんかいらないよ」
「いや、しかし、『俺たちが住む家だ』って、お前」
要らないって言っても、払わないといかんと思うのはエレトンの性格的なものだろうなあ。
俺も、なんでこの家族に家まで都合付ける気になるのかなあ?
ああ、そうか、家族か、そうなんだ。
「あんたら、俺の家族なんだから同居は当然だろ?」
言ってみて自然に腑に落ちた。
家族なんだから俺の力でどうにか出来るんだから、家ぐらいどうにかするのは当然だよな。
「!・・・そうか、家族か、そう言ってくれるのか」
エレトンはしきりに頷きながらそう言っていた。
言われて否定しないのだから、家族だという認識は了解されたと行くことで良いのだろう。
その日の夕食前にエレトンは俺の言葉を家族に伝えた。
モニータは食前の感謝の言葉として捧げようとして、
「ゼナや狼も家族なの?」
と、素朴に尋ねた。
「ゼナは家族だが、狼や犬は違う、の? あれは土地を借りてる借人なんだ」
狼が家畜とそう長く暮らせるとも思えない。
そもそもニホンオオカミとハイギンオオカミの合流も異例なのだ。
二度目の衝突でジュンとハンナが女神の祝福で回復していなかったら、双方ともに死者を出していただろう。
その後は永遠に反目し合うことになっていたに違いない。
今後も仔が大きくなると今の関係が続けられるか分からない。
そしてタエ、狼と共にいるのか、この家の番犬になるのか? そこはこれからの成り行きによって分からないところだった。
まあ、こんな家族関係もあっていいだろ。
ちなみに今日の女神ポイントが100ずつしかなかったのはナビーネ様が仲間外れにされたような気がして拗ねたからでした。