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やはりロース肉は美味いようだ

エレトン家に戻ると、女衆が待っていた。

沐浴に付き合って欲しいらしい。

ジニーも昨日はトロットロ状態だったので、洗った方が良いだろう。

因みに洗濯物は晴れていれば毎朝マロンが洗っている。

俺も亜空間からの出し入れで布地の汚れを落とすことは出来るが、何でもかんでも面倒を見ることもないだろう。

雨が続いたときに助けてやる程度でいい。

今日は、岩の上に座ったままでの洗髪を希望のようだ。

寝転んで髪を洗う時に俺が冷水の川の中に入っているのが気が引けるらしい。

まあ、確かに寒さに強いわけではない俺だから、気を使ってもらえるのは嬉しい。

指先の10本シャワーでモニータとオリパ、ジニーの髪を流してやっていると、マロンも指先からのお湯噴射を覚えたようだ。

風魔法と亜空間収納の合わせ技であるヘアドライヤーはマロンには無理なので、やはり俺が活躍するのだが。

しかし、オリパ、乳がでかくなってないか?

いや、先日が旅の疲労で縮んで垂れていただけか。

高カルシウム、高タンパクの食事で本来の張りが出てきたのだな。

ガトー君、喜びたまえ! ロケットッパイだよ!


エレトンとガトーが戻って、狼たちも戻る。

オリパは戻った山羊を見に行ったようだ。

俺は焚火台を取り出す。

今日は本格的なタビトナカイのロースステーキにするのだ。

しかも、一頭当たり1㎏、厚みは5㎝だ。

焼き方はミディアムだな。

レアは中がホント生になるし、ウェルダンにしようとすると表面が焦がさないようにしてもカリカリになっちゃうし。

その前に、モニータに念話で通信。

〈夕飯の肉、外で食べるかマロンに訊いて〉

〈おっかさん、こっちで料理するって〉

〈肉取りに来て〉

皿を持って肉を取りに来たのはオリパだった。

サーロインを1.5㎏渡す。

「これはどこの部位ですの?」

「サーロインだな」

「ああ、胴の腰のあたり、良い肉ですのね」

さすが商人の娘、よく知ってる。

オリパと入れ替わりでゼナが出てきたので、焼き上がった肉を与える。

「美味いか?」

「ふっふー」

美味いらしい。

次は、ゲンからいつもの順番で焼き上げていく。

・・・・・・タエは1㎏は無理か。

500gもきつい? じゃあ、300g。

〈胃にもたれたら、言え。次から減らすから〉

〈狼たちも1㎏は多いと思う〉

〈奴らは食い溜めできるはずなのだが、そう言えば、雄3兄弟のガタイが良くなってるな〉

ゲンとは明らかに体格差があったが、今では迫る大きさになってるなあ。

ゲンやダンのような威厳はなく、行動に幼犬の仕草が残っているが。

かの有名な農家の頭を撫でてもらって喜ぶ狼と違って、俺に体を擦り付けるコミュニケーションで納得したのち、周囲に散開し夕げは終了となる。

家の中に戻るとマロンはまだ夕食の準備中だった。

ローストビーフ風に焼いて冷やしたため調理に時間がかかったようだ。

食前のお祈りで女神ポイントを100ゲットして夕食開始だ。

ソースはスープの残りの煮汁に砂糖と塩を混ぜたものだが、悪くはない。

後付けで白胡椒を振っても美味かった。

やるな、マロン!


翌朝は早めに起きる。

今日もオークの教会に行こうか。

狼たちも腹減ってないのか既に狩場に行く心づもりのようだ。

タエに言伝してちゃっちゃと空間移動しちゃう。


教会の中央の空間に重力魔法で浮遊しながら、亜空間を大きく開いて、中央の柱に梁と桁をクロスして組み合わせた木組みを設置する。

建設前に敷地内に置いていた石材の余りを支柱の周囲に配置して思案する俺。

元は、ここの石材はこの岩盤から切り出したんだよな。

なら、更にここから切り出して、その切り取った跡の溝に石材を噛まして固定しながら土台を作ろう。

余談だが俺の空間魔法で座標を決める時は三角形が基本だ。

これは俺が三つ目であることから起因するようで、三角形だと速正確に座標を決めることが出来るのだ。

今現在の様に足元の岩盤を直方体に抉る時は直角二等辺三角形を10回座標決定して5面を切断して取り出す訳だ。

石材の名称については知らないが、木材の名称にならって木表の面が上だったものを木端が上になる様に90度向きを変えて15㎝30㎝で床に平たく沈んでいたものを30㎝15㎝にして岩盤から15㎝せり出すように埋め戻す。

これをあと3カ所作って柱の足元をがっちり岩盤で固定しちゃう。

何故15㎝なのかというと、土台の高さにする石材が今の余ったやつを半分に切った時の厚みになるからだ。

支柱と十字の桁梁が決まったので残りの壁をもとに戻して、屋根材を組み上げ、後は垂木を釘で固定する前にまで仕上げた。

〈こんな感じになりました〉

〈は? なんです? ザンザ殿来てるんですか?〉

サッサ伍長から念話の返事があった。

暫くして、伍長が駆けつけてくる。

「うお、わー、また屋根がぁ、前よりカッコよくなってるぅ!」

〈少尉殿はどうしてる?〉

〈ああっ、国境でトガーの仕官と猥談です〉

〈そうか、大切な話のようだな〉

〈猥談は超大切です〉

〈真に受けんじゃねえよ! 野地板を置いておく、後は、少尉の指示でこれを張っておいてくれ〉

大量の板材を積み重ねて、石材をパレットにした上に置いておく。

〈あとで屋根ふきをどうするか少尉に聞きに来る。床板と土台はその時同時にできるかなあ。今日はこれで帰るわ〉

〈もう帰るのですか? 休んでいきません?〉

〈俺が何時でも食いモンだすとか思ったら大間違いだぞ〉

「そ、そ、そんなことは全然考えてないですぅ」

〈たまには、そっちで食いモン用意しとけよ。じゃあな〉

結局今日は伍長としか話をしなかった。

まあ、こういうこともあるだろう。

飛び立った俺は伍長から見えなくなる位置で空間移動で牧場まで戻るのだった。



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