第3話 私から動かなくても王都へ行くことになるのね
そして今、私達……アルフォードと私は王都に向かうため馬車に乗っている。
あの後、離れまでアルフォード本人がやって来て、連れ出されてしまった。
王都にまで行くつもりなんて無かったのに、結局小説通りに進んでるんだわ。
やだな。婚礼直前で婚約破棄されるのが分かっているのに……。
「出なければならない夜会は、国王主催のものだけだ。後は好きにしていると良い」
アルフォードは、それだけを言ってそっぽを向いている。
まぁね。小説通りなら、アイリーンの我がままでこの婚約は成り立っているから。
父親のマクレガー伯爵の方は、侯爵家との縁が出来ると喜んで受けたようだけど。
それにしても、王都に入ると懐かしいという感覚はあるのね。
アイリーンも、昨年のデビュタントから人並みには社交界に出ていたようだし……。
「お帰りなさいませ。お嬢様」
婚礼間近で、マクレガー伯爵領に入ったけれど、王都では実家であるジェネラル家のお屋敷に戻るのね。
「お父様は、書斎かしら?」
「はい」
見慣れた自分の部屋に入り、着替えさせてもらう。
そして父に挨拶をした後、夜会のドレス選びに入った。なるべく派手じゃ無いのが良いよね。私の精神衛生上。
「この時の為に作られたドレスをおやめになるのですか?」
私付きの侍女カレンが、恐る恐るという感じで訊いてきた。
この夜会のために用意したというドレスは真紅の派手な物。
「そうよ。わたくしには派手だし、アルフォード様は派手な装いはお嫌いらしいから」
アルフォードの好みはどうでも良いのだけど……。
ああ。あった。これが良いわ。なあんだ、奥の方に派手じゃ無いドレスも沢山あるじゃない。
胸元が紺色で、裾に行くにしたがって淡いブルーになっていくドレス。
これに真珠を合わせれば何とかなりそう。
カレンもこれならば。という顔をしたので、当日着て行けるようにお直しをお願いすることにした。




