5、大人の葛藤②
「貴方達のお子様だった子は、今も元気に生きています。
養父母に大切に育てられて、年相応の体型にもなってきています。貴方達が行く予定の村で。」
この言葉に衝撃と希望と歓喜が押し寄せていた。
生きていてくれたと言う歓喜と自分達が行く予定の村に居るという衝撃、会えるかもしれないと言う希望。
だが、はたと気がついた。彼は養父母に育てられていると言っていた。つまりは、もう自分達の子供ではなくなったと言う事だ。
いや違う、捨ててしまった時点でもう我が子ではなくなっていたのだ。
彼の言葉で、どこか現実逃避をしていた思考と向き合う事が出来た。
しっかり現実を見て考えた結果。
罵られても、憎まれても、会いたい。
都合が良いのは分かっているが、ただただ我が子に会いたいという思いが強くなった。
そして迎えた当日。不安と緊張で胸の鼓動がドクドクと早くなる中、村へと到着した。
馬車から降りるなり直ぐに気づいた。
あぁ、我が子だ、と。
だが、子供達は顔面蒼白になり震えている事を知った時••••
私達はどこか、子供達に受け入れてもらえるだろうと、奢っていた事に気付かされた。
こんなにも傷つけて、苦しませて••••
本当にすまなかった•••
あまりにもショックと罪悪感で帰ろうとしたのだが、この村の女の子に怒られてしまった。
こんなにも小さい子の方がしっかりしているなんて、自分達は何て情けないのだろう。
そうだ。我が子に報いる為にもやると決めたのは私達だ。
やれる事や教われる事をやって、村を立て直してからでないとこの子達に顔向け出来ない。
同じ所に居れると思えるだけでも有り難い。
明日から自分達のため、子供達のために頑張っていこうと思った。
「ところで、お酒とか高くて溺れるほどとか買えないんじゃないか?」
この村へと来た次の日、詳しく話を聞きたいとの事で自分達のこうなった経緯の話をした。
その際ナールさんがお酒の事を指摘した。
確かに自分達でもそれは思っていた事だ。だが実際に買った値段を伝えると、驚愕の表情をしていた。
「はぁー!?硬貨20枚だぁー!!?
いくら何でもそんなんじゃ買えないよ!その酒や入っていた容器はまだある?」
何故か酒の容器は怪しげな男が持ち帰っていた、と伝えようとして思い出した。
「いや、確か1つだけ残っていたな。自分への戒めに取っておいたんだ。」
それを聞いて、ナールさんは私達の村へ行ってくると勢いよく馬車を走らせていった。
あんな容器がどうしたと言うのだろう?
それが後に大問題へと発展するなど、露にも思っていなかった。
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