3、子供の葛藤
3人の産みの親に対し、ついつい感情のままに言ってしまった事について、ライ達にまだ謝る事も出来ていなかった。
何となく気まずくて、3人の前に出て行けなかったのもある。
「どうしよう•••、かってなこといったから、3人ともやっぱりおこってるよね•••••」
ぶつぶつと家の中で呟いていると
「ルンちゃんは3人の事を思って発言したんでしょ?
ちゃんと3人とも理解してくれるわ。
だってあの時、誰よりも早く自分の事のように怒ってくれていたじゃない。
お母さん感動しちゃったわよ?
大丈夫よ、いつもの様に話しかけてみなさい。」
いつの間にやら母が近くに居て呟きを聞いていたようだ。
だが、母の言葉に勇気をもらって3人に会う事にした。
多分祠にいるだろうと、心臓のドクドクが早くなるのを自覚しつつ祠へ歩いて行くと、メルトが祠の外で待っていてくれた。
「ルンちゃんやっと来たー!まってたんだよ?おそいんだからー」
待っていてくれた、との言葉ですでに泣きそうになりながらも、コクコクと頷き返事をした。
そしてメルトと共に祠へと入ると、3人が迎えてくれた。
まず最初に謝罪をしなきゃと口を開こうとしたら
「ルンちゃん、ありがとう。私たちの為に怒ってくれて。
あの人達なりに後悔とかしてるんだと思うけど、謝られてもどうしても気持ちがイヤだってなっちゃってたの。
その時にルンちゃんが逃げるのだめって•••、自分達に言われた気がしたわ。
そしたら、あの人達に負けたくないって気持ちが出てきたの•••」
エリンが素早く発した言葉に思わず固まってしまった。
「正直あの時、ルンに余計な事言うな!って思ったけど、でもルンの顔が僕らよりも怒っていたのを見て、何だかすごく嬉しくなったんだ。
まだどう接したら良いか分からないけど、僕には本物の両親がいるから••
頑張ってみようと思う。」
「僕も、捨て子の気持ちなんて分かりっこないのに!って思ったけど•••
怒ってる顔見て、僕らの事を思って大人達に立ち向かってくれたんだと気付いた。
だから、ありがとう。」
ライやリックからも声をかけてもらって、ついに涙が溢れてしまった。
そんな私の背や肩を4人はさすってくれた。
「みんなにきくよりさきに よけいなこといって、ごめんなさい。
がまんできなくて•••かんがえるよりもさきに くちがうごいてしまいました•••」
皆んなは許してくれていたけど、やはり謝罪はしなくちゃと3人に頭を下げて謝ると
「それは良いよ!でも•••
ここに来てくれなかったのは、許さないから!
ずっとずーっと待ってたんだからな!昨日も今日も!!」
「そうよ!何で私たちよりも顔色を悪くして1人で考え込んでるのよ!!
そんなに顔色悪かったら折角メルトが持ってきてくれた出来立てパンあげないんだから!」
なんですとー!?
何故仲直り?の良い雰囲気からそんな脅しのような事に!!?
下げていた頭を上げると4人は悪戯が成功したような笑顔で私を見ていた。
そして誰からともなく
「「「「「プッ、プフフ!キャハハハハ!!」」」」」
声を上げ笑い転げてしまった。
その後5人で仲良くパンを食べながら話をした。
やはり思うところはあるようで、自分達の中でまだ消化できない気持ちはあるようだ。
「私たちで見極めろって言ったけど、平等?えと、何て言うのかしら•••」
「こうへい?」
「そう、それ!公平に見極めるなんて出来るとは思えないの。
多分ちゃんと見る事も出来なそうで•••」
今の私の年齢で体験したこの子達の恐怖や絶望感は、そう簡単に払拭出来ないだろうし、経験のない私が分かったような事を言う立場ではない。出来る事と言えば、寄り添う事だけ。
でもこれだけは言える。
「もう、このむらのこ。あのひとたちは、けんしゅーせい。」
この言葉に3人とも嬉しそうに頷いていた。
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