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村と幼女の幸せ計画  作者: 天狐
幸せ第9章
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11、まさかの再会

領地をあげての大会から2週間後の春の2月、模範村として研修生を迎える日がきた。

朝から最終確認やら出迎え準備やらで、大人達は忙しそうにしていた。

そんな中、子供達は••••


「良い?絶対に変に目立つことしないように気をつけるのよ?」


「おもてなしは僕たち皆んなでやるから、ルンは1人飛び出さないようにね!」


朝から何故か注意事項を懇々と伝えてきた。

何故だ。私はいつも大人しくしているではないか。

完璧な淑女としての佇まいで目立ってしまうのは仕方のない事ではないか。


反論すれば倍になって返ってくるのが目に見えているだけに、ただ頷くしかなかった。



やがて村に近づく馬の蹄や車輪の音が聞こえ始めた。

今回もラズラ商会の人による送迎で、無事にこの村へと到着したようだ。


今年はどんな人が来るのだろう?

小さな子は来るのかな?

色んな話を聞かせてくれると良いな〜!


緊張と期待と楽しみが()い交ぜになって押し寄せる中、馬車から研修生の村人達が降りて来た。


ドキドキとしながら見つめていると、隣から息を飲む気配を感じた。

隣を見ると、ライやリック、エリンが顔面蒼白となり震えながらも、驚愕の表情を浮かべていた。


「どうしたの!?」


問いかけるも聞こえていないようで、じっと動かず一点を見つめ続けている。

3人の見つめる先を見ると、1台目の馬車より降りて来た村人達の姿があった。


•••が、その姿は•••••


薄汚れてはいるが、赤茶の髪色の男性や黄金色の髪色の女性、そして青緑色の髪色の女性の姿。


3人と同じ髪色を持つ村人達。

そして、恐怖に震える子供達。

まさか、彼らはこの子達を捨てた産みの親•••!?



ナールさんがどういった意図で彼らをこの村に招待したのかは分からない。

だけど、大人達は彼らを迎え入れた。

それは、つまりーー



「い、や••••嫌よ!私はこの村の子になったの!!」


「どうして•••••」


この子達を産みの親へと渡すつもり?

そんなの認めない!

ライもリックもエリンも皆んなこの村の子だ!今更そんな事あってたまるか!!


胸の奥から湧き起こる怒りや驚愕のような衝撃に、自分自身を抑えきれなくなっていた時



「大丈夫だよ。お前達は間違いなくこの村の大切な子供達だ。」


そんな父の言葉が耳に入った。

その言葉に周りを見ると、ライにはバク夫婦が、リックにはカリー夫婦が、そしてエリンにはケイン夫婦がそれぞれしっかりと子供達の肩を抱き隣に立っていた。


「もう1度言うよ。お前達はこの村にとって大事な子供達だ。

例え産みの親であっても渡すつもりはないよ。

それに、気づいているだろ?

血の繋がりなど関係なく、お前達には無償の愛をくれる()()の親がいる事を。」


父の言っている意味が分からなかった。

だって、気づくも何も3人とも本物の家族になって暮らしているのに。


だがその答えは3人の親達の言葉で理解した。


「ライ、お前はいつも頑張り過ぎるくらいに頑張っていたけど

結果を出して自分の存在を俺たちに認めてもらいたいって思っていたんじゃないか?

ライの事だから、役に立たないとまた捨てられるとでも思っていたんだろ。

あのね?ライ。俺たちの方こそお前に認めてもらいたいって願っているんだよ?

頼りない親だけど、お前を思う気持ちは誰にも負けない。だからどうかお前の親にさせてくれないか?」


「リック、俺たちには死に別れた子供がいる事を伝えていたからか、お前は家族にはなれないと思っていたんだろ。

だから親でなく師として見ようとしていたのも気付いていたよ。

だけどなー、リック。お前はとっくに俺たちの可愛い子供なんだよ。

何遠慮してるんだ。一緒に作品を作っている時みたいに、遠慮なんてしないで俺たちにどんどん気持ちをぶつけてこい!」


「エリン、俺たちはエリンがいるから毎日が幸せなんだよ?

いつも俺たちの顔色を窺うような答えじゃなく、素直な気持ちを言ってもらいたい。

それで意見が食い違ったとしても、喧嘩したとしても、家族なんだから良いじゃないか。

俺たちは確かに親になったばかりで、至らないところもあるだろう。

だけど、これだけは覚えておいてほしい。

エリンと言うたった1人の我が子を心から愛しているって。」


その言葉は3人の心に響いたのだろう。それぞれの両親に抱きつき泣き出してしまった。


いつも一緒に過ごしていたのに、3人がそんな気持ちでいたなんて気づかなかった。

だって、親を自慢したり尊敬の眼差しで見ていたじゃないか。

大人の機嫌を窺っていないとまた捨てられるとでも思ってたの?

そんな過去があったなんて皆んなが忘れていたくらい、こんなにも愛されているのに??

今尚深く根付く負の思いがあったなんて•••

でも、親達はちゃんと気づいていたんだね。


ほら、やっぱりどこからどう見ても、本物の家族じゃないか。


閲覧いただき、ありがとうございます。

誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。


第9章完結しました。


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