6、サーシャの初恋!?
最近良く目にする光景がある。
「あ、まただ。」
お貴族様であるはずのサーシャちゃんはもはやこの村の子では?と勘違いするほど遊びに来るようになった。
そのサーシャちゃんが時折宿泊所の窓から外を見ては、ボーッとする事が増えたのだ。
これはあれか?
「恋ね。サーシャちゃんは誰かに恋してるんだわ!」
ふむ、やはりそうなのか。
だが、サーシャちゃんはお貴族様。相手は誰か分からないが間違いなく庶民。
「報われない恋なのね!応援したいのに、サーシャちゃんを思えば見守るしかできない!
なんて切ない恋なのかしら!!」
エリンはどうやら恋に恋しているらしい。
くねくね軟体生物の動きで、切ないと言いつつも目をランランと輝かせるのは如何かな?
でも、確かに気になるー•••
「サーシャちゃんどうしたの?そんなに何を見てるの??」
!?何と勇者がいたものだ!
メルトが臆する事なくズバリと真正面から聞きだしてくれたお陰で、妄想する事なく聞き耳立てられる!!
だがしかし、小声で話すサーシャちゃんとメルトの話し声が全く聞こえないではないか。
エリンと共に徐々に近づき耳をダンボにすると、ところどころボソボソだがようやく聞き取れる事が出来た。
「ーーで、あのくろくてーーもすてきだし あのやさしげなめやーーすてきだわ。」
!?何と!!誰だ!!?それは誰なのだ!
黒髪はこの村に結構な数いる。ダル兄だって黒髪だ。
だが残念ながらダル兄は今この宿泊所にいるから違うであろう。
あんなにポーッとした顔をするほど恋するなんて、き、気になりすぎる!!
「んー、でも相手は•••応えてくれないかもしれないよ?」
今日のメルトは何てズバズバ切り裂くのだろうか。
相手を知っているからだろうが、これはきついのではなかろうか!?
そろーっとサーシャちゃんを見ると、今にも泣きそうな顔をしているではないか••••!
「メルトいいかた!もっとやわらかく!」
おっと、思わず口を出してしまったではないか。
「あ、みんなきいてたのね•••!」
サーシャちゃんはさっきのダメージを隠そうとしているのか、恥ずかしそうにしていた。
何て健気なんだ。
「だってルンちゃん、応えてもらえないかもしれないし認めてくれないかもしれないのに、サーシャちゃんが傷つくのは可哀想だよ!」
メルトも何て友達思いな子なんだ。
「誰に言えば認めてもらえるの?」
ここまでずっと恋の妄想で忙しそうだったエリンが復活して口を開いた。
「誰だろー。ちょっと聞いてくる!」
そう言うが早いかメルトは駆けてどこかに行ってしまったが、すぐに戻ってきた。
「あのね、ナールさんだって!!」
えっ?ナールさんのお許しが必要な人何ていたっけ??
残念ながら子供どころか奥様すらいない、可哀想なナールさんに???
取り敢えず皆んなでナールさんの元へと突撃した。
そしてサーシャちゃんが開口一番宣ったのだ
「あのこをわたくしにください!
たいせつにします!!あのこがわすれられないんです!!!」
何て大胆な告白なのだろう。
相手は知らないが美幼女にこれほど求められるなんて、幸せ者だ。
「いや、その•••あれないと僕も多分この村の人も困ってしまうから•••ごめんね。」
あれが何か分からないが、美幼女の告白を玉砕とは!許すまじナールさん!!
「いやいやいやいや、皆んなも落ち着いて!
だって、シンセツ号をあげちゃったらこれから先どうするのさぁ!」
•••••••?
••••へっ?シンセツ号??黒毛で雪道も何のそのな、逞しい脚をもつあのシンセツ号!?
"くろくて(ツヤツヤな毛)""やさしげな(馬の)め"確かにシンセツ号だ。
•••庶民どころか馬とは結婚出来ないと思う••••。そしてあの子は牝馬だ。
メルトよ、良く応援する気になったものだ。その友情に感服する。
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