1、薬草図鑑?
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人の往来と共にやってきた王都熱。
それに罹り、命の危機に瀕したこの村の子供達だが、完治すれば元の元気いっぱいな様子に戻った冬の2月中旬。
「ルンちゃーん、もう少しだよ!」
「頑張れー!終わったらおやつだぞ!」
私に声をかけるいつもの面々は、おやつのクッキーを片手に応援していた。
「おやつー!クッキーーー!!
わたしのぶん たべちゃだめよーーーー!」
私はスープを飲むまで2週間以上もの間ほぼ飲まず食わずだったらしい。
いくら普段走り回っていたとて、当然脚力や体力は落ちる。その為完治しても歩くのもままならず、また歩く練習から始まったのだ。
しかし両親は"生きていてくれているだけで十分。これからまたゆっくりと歩けるようになれば良い"といつも言って聞かせてくれた。
そのお陰で、歩けない事に落ち込みはするも苛立つ事なく普段通りに過ごせているのだ。
普段通り•••
多少食い意地張った幼女の復活である。
人参をぶら下げた馬の如く"おやつ"の言葉に反応し、友達の手に持つクッキー目掛け歩く練習方法は、私には効果絶大だったようだ。
見事おやつを手に入れホクホクしながら食べていると、ライが薬草片手に粘土板へ何やら書き込んでいた。
「ライどうしたの?」
「ん?あー、薬草の効果とかを書いて見本の薬草と一緒にしておけば分かりやすいかなーと思って。」
ライはどうやは研究者体質のようだ。
だが、それは図鑑ではないか?
「かみにかくほうが みやすいかも?」
「紙も考えたけど、高いから•••」
そうだったー!
そもそも図鑑は存在しているのだろうか?
ナールさんに聞きたい!だが今や歩行練習したばかりで足が産まれたての小鹿のようにプルプルと•••!
何か移動手段はないだろうか•••
あっ!あれを作ってもらおう!!
「それでその姿なのか•••」
ナニカナ?
私の姿は特に変わりないではないか。
強いて言うなら持ち手と車輪の着いた、乳母車のような箱に入っているだけだ。
小鹿の私は淑女の外聞すら封印して、移動手段を見つけただけだが?
冷静になったらきっと後悔すると分かっているから、皆まで言わないでおくれ•••••
ナールさんの意識をずらす為にも、早速図鑑の話を聞いた。
「んー、商会で色んな商品を扱ってきたけど、ずかん?はなかったなぁー」
何と!ではたくさんある薬草の名前や効能を他の人も暗記しているのだろうか!?
何たる記憶力。何たる頭脳••••••
図鑑の利点を並べられるだけ並べ、ナールさんの口を挟ませる事なく語りまくった。
「それで、紙が欲しいと言う事に繋がるんだね。」
「ぜったい、やくそーあつかうひとに ひつよーになる!」
何やら考え込んだナールさんにドキドキしながら返事を待つ事数秒。
「医者が薬草を扱って薬を作っているんだけど、分担にすれば医者の負担も減るかな•••」
えっ•••、遥々この村にも診察に来てくれたほどの忙しさな上に薬も作るとか、何そのブラック。
それ、お医者さんはいつか過労で倒れると言うのが、もれなくセットで付いてくるのではないか?
いらぬそんなセット。得するどころか損するものなど誰が好き好んで貰おうか。
声を大にして言いたい。
セットならばお菓子やおもちゃだろう!
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