10、人の往来が招くもの
今年も雪像などの芸術品には多くの絶賛の声が聞かれていた。
父達の作った雪の家も好評だ。
この雪の家は、階段を設け少々高い位置に作ってある。
中も細かく作られていて雪のテーブルやイス、そして小さく作られた窓からは雪が降りつもる村の様子も見られる。
お貴族様の子供達もこの雪の家で遊んでは、隣の傾斜台から滑り降りるのだ。
除雪のため作られたスペースに溜まった雪を使っての遊びスペース。
これには村の子供達も喜んで遊んだ。
そしてナールさんやラズラ商会の人達による作品は、陽が傾くと発揮した。
「綺麗ね〜、幻想的だわ〜••!」
まるで小さな雪のかまからをいくつも作ったようなところに、蝋燭に火を灯した光景は別世界に感じるほどだった。
これらを見るだけでも、来た意味があると思わせる芸術品たちの数々。
結果、噂が噂を呼び、去年を上回る人の数となったのだ。
人の往来が多いと起りがちな、人に対するトラブルにはナールさんの知恵と工夫により回避できていた。
その為、人の往来で起る事はトラブルだけではないと、すっかり頭から抜けてしまっていたのだ。
「ゴホンッゴホンッ•••、おかーさま、きれーねー!、ゴホンッ!」
「サーシャ本当に大丈夫なの?また今度来ましょう?」
「やーよ!つぎいつこられるかゴホ、ゴホンッ•••わからないじゃない!」
冬の1月も下旬に差しかかる頃、1組のお貴族様親子に目が止まった。
風邪でもひいているのだろうか?
頬も赤くなっていて熱があるのは明らかだ。
「あの、このハンカチ•••きたないかもだけど、つかってください。」
「えっ?ううん、だいじょーぶよ。ゴホンッありがとう!こんなきれーないろのハンカチがよごれたらゴホン、もうしわけないもの!」
お貴族様に渡すには少々薄汚れているだろうが、あまりにも辛そうなのでハンカチを差し出した。
お貴族様のお子様ーサーシャちゃんーの手を触った瞬間
「あつい•••!おねつあるんじゃない?」
サーシャちゃんの手はカイロも真っ青な熱さだった。
私のその言葉に母親はすぐにサーシャちゃんの額に手を当て
「やだ!本当だわ!急いで帰りましょう!!ありがとう、教えて頂いて!」
慌ただしく帰って行った。その背を見ながら
「すぐになおるといーなー••」
「本当に、すごく楽しみにしてくれていたみたいだしね。」
そう呟いたのだった。手には少女の咳が付いたハンカチを持って。
それから数日後、この日は朝から体が怠かったが遊びたい一心で気合いを入れて外に飛び出していった。
その日の午後になると寒さからか震えが出てきた。
だが、寒いのはいつもの事と軽くみていたのだ。
そして外で雪を使ってのプチ雪合戦をしている時に異変を感じたのだ。
「体が熱いのに震えが止まらないわ•••」
「僕は寒いような、ゴホンッゴホンッ」
そうなのだ、皆んなして震えが異常なほど止まらなかったり咳が出たりと常ではない状態になっていた。
どうしたのだろうと思っているとライが倒れメルトも次に倒れた。
これはヤバイ、と大声をあげようとして•••
記憶が途切れたのだ。
子供達5人が雪の上で倒れているのを見つけた大人達は急いで各々の家に運び入れ、医師を派遣してもらった。
そして言われた病名が
「王都熱••••••!?」
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