9、アーリの父来訪
子供達の習慣に勉強も加わり、益々毎日が充実していた。
特に勉強が好きと言うわけではない。
だが、初めて知る事が楽しいのだ。
子供故の吸収率の良さでどんどん覚えていった。
祠には誰が用意したのか、小さなテーブルとイスが置いてある。そこに座って今日も子供会を開催していた。
「こう書いて、これが"今日"て文字よ?」
「こう?んん?エリンぎゃく みにくいー」
お互いに教え合いながらの勉強だが粘土板が出来ただけで、こんなにも変わるとは思わなかった。
勉強を一区切りつけて、休憩を(お菓子も添えて)していると
「皆んなー、久しぶり〜」
そう言って変わらぬホワンとした笑顔で声を掛けてきた人物を見て、5人は驚きで目と口を開けポカーン!
いかんいかん、淑女たる者口の締まりをよくしなければ!
「アーリ どうしたの!?」
「ふふふ、お父さんがこの村に行くっていうから、ついてきたの〜
ルンちゃんお口の周りにお菓子ついちゃってるよ?」
何と!アーリ父と来たのか!!
そして、口の締まりを良くしても口の周りは悪かったようだ。
アーリに口の周りを拭いてもらいながら反省した。
祠から出てアーリ父のいるだろう宿泊所に向かった。
何でも相談があって、この村に来たそうだ。
宿泊所に着いたらいつの間に来たのかナールさんも居て、話し合いに同席していた。
神出鬼没のナールさん。この世界に電波などないのに、ナールさんにはアンテナがガンガンたっているようだ。
「皆んな久しぶりだね。お邪魔させてもらっているよ。
少しの間だけど、またアーリと仲良くしてくれると嬉しいな。」
アーリそっくりのホワンとした笑い方でアーリ父がそう声をかけてくれた。
5人は揃って返事して、何して遊ぼうか相談する事にした。
「僕は山の散策が良いなー!そろそろ冬に備えた薬草が生えてきてるから!!」
「わたしは パンづくりしたいー!みんなで できたてパンたべるの!」
「僕は運動がしたいなー、この前の運動会で優勝したけど、綱引きには負けたし!」
「私はまた勉強したいわ!早くお父さんお母さんにお手紙書きたいもの!」
皆んなバラバラである。
薬草採取には2度と行かないと思ったけど自分で歩く分には、まぁない事もない。
パンは工程の面倒臭さを除けば、出来立てを食べれるのは魅力的だ。
運動は論外。まして、ゆ、優勝したなどの言葉•••ぐぬぬぬ!
いくら飲み込みが早い年頃だとしても、勉強はさっきしたしなぁー
6人で考えていると
「それで、定期的な出荷を見込む為の案などがあればと思いまして。」
アーリ父の言葉に、思わず振り向き大人達の会話を聞き入った。
どうやら、去年はこの村からの大量注文を機にちょこちょこと注文があったが、発注ルートはナールさんのみ。
それではこの冬は兎も角今後の生活が厳しいので、何かあればと来たらしい。
ラズラ商会のような物がいくつあるのかは分からないが、確かに1つの商会頼りでは生活は成り立たないだろう。
まして、アーリのところは羊毛頼り。
動物のお世話には餌代もかかるし、病気になったら専門医に見せなければいけない。
人間よりもお金のかかる場合だってあるのだ。
別な意味でも、うんうん唸ってしまった。
ここでこそ、記憶を発揮する場面!
だが、そんな都合の良い物が思い浮かべられるはずもなく時間だけが過ぎていった。
ぎゅるる•••
頭を使ったせいでどうやらお腹の虫が糖分を催促しているようだ。
「できたてパンたべよー」
その言葉に5人は揃って同意してくれた。
だがその目は
「お腹空いたのね」
と物語っていたのである。
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