6、迷える幼女
いくら頭の切れる幼女だとて、いや、だからこそ余計に周りの人々の順応力の高さに驚かされる。
普通の幼女らしからぬ落ち着きや言動を聞いても、すんなりと受け入れる寛容さに感動した。
私だったら聡明過ぎる幼女とか、腰を抜かしてしまうだろう。
そう思っていたのだが両親を筆頭に、周りの村人達の方が凄かった。
魔法も電力もないこの世界で、人の力だけで仮ダムをたった一年と半年で作り上げた事。
ちょっとついでとばかりに仮ダムから水を引いてしまった事。
隣家のいかにも村人風なおじちゃんこと、バーガーさんが説明を聞いただけで作った緻密な設計図。
何と言う事だ。
感心を通り越して、私の方が恐れ慄いてしまったではないか。
この超人的村人の秘訣は何なのだ。そう呟いた言葉に
両親曰く
「爺様がいた頃は丸太を抱えて山に登ったり、木の上で気配を探る訓練をしたり、早朝には強制参加で騎士団も行うパニシーブートトレーニングをさせられていたから、今は楽な時代になって良かった。」
いやいやいや、良く考えてくれ。
何故丸太を抱えて山に登らにゃならんのだ。
木の上で気配を探る訓練って、忍ぶ者にでもさせようとしていたのか。
言い方が違うだけで、あの某元軍人さんが生み出したブートなキャンプは何故この世界にあるのだ。
村人なのに騎士団並みとか、この村人達をどこに向かわせようとしていたのだ。
突っ込みどころ満載なひい爺ちゃん達の話を聞きながら、遠い目をしてしまったのは必然だろう。
時代錯誤で迷子の迷子のルンちゃんになりそうだ。
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