1、夏の秘密①
新章スタートです
父達が村を離れて早3ヶ月。
時折届く便りで、母が父達が頑張っているのを教えてくれる。
まだ文字を読めない私には、母が読んでくれた言葉で知る以外に方法がないのだ。
だが、怪我もなく日々頑張っている父の姿が離れていても分かるのは
「それがさぁー、この前の手紙でーー」
「アハハハハ!そうなんだよ!!」
「まぁ、それでどうしたの?」
亭主元気で外が良い。
頭に浮かぶフレーズを体現するかのように、母達が何の憂いもなく過ごしているからだ。
今日も晴天。ジワジワと暑くなる気温と共に村にも笑顔と元気が溢れている。
そんな中私たち警備隊もまた、元気に今日も仕事をこなしていた。
「あつくなってきたねー•••」
「うんうん。でももうすぐ雨降りそうよ?」
空を見上げて、遠くからどんよりした雨雲が近づいてきているが見えた。
雨が降ると、以前は雨漏りや土砂災害に遭いがちだったこの村は、父達の奮闘で安心して暮らせるようになった。
そう思うと、父達を思い出してしまうけど
「それはたいへん!はやくおわさなきゃ!」
今はそれどころではないのだ。
祠近くの空いてるスペースに、子供達だけで簡単な建物を建てている。
壁板の半分ほどの大きさの木板を立て掛けて、屋根には山から採った草などを被る。
所謂"秘密基地"作りに没頭していた。
大まかな作りは出来たけど、内装がまだ出来上がっていない。
その為、今雨が降ってしまったら台無しになってしまうのだ。
この祠近くの場所は、丁度死角となっている為村人からは見えない位置にある。
たまたま隠れんぼしていた時に発見した警備隊の面々で、秘密基地作り隊を結成して作成しているのである。
「ルンちゃん、机とイスどうしよ?」
秘密基地内をぐるりと見渡して考える。
ちびっ子警備隊だが5人入るとやや余裕がなくなるスペースに、机やイスを置いたら身動きがとれなくなるのではないか?
かと言ってイス1つないのは味気ない。
「ちいさいの なにかないかな?」
「それなら木箱置いてみる?」
それだ!30cmほどの木箱なら5つ置いても邪魔にならないだろう!
お尻の小さなちびっ子の特典だ!!
それぞれ家にある木箱を持って再度集合する事になった。
「じゃーまたあとで ここね?」
こっそり拝借した木箱を持って、こっそりと誰にもバレないように秘密基地まで戻る。
簡単なようでいてなかなかに難しいミッションだ。
「ルンちゃんどこ行くの?」
まず非常に鋭い観察眼の持ち主の目を掻い潜るのは至難の技。
「また何かやろうとしてるの?」
そして鋭い嗅覚の持ち主の勘で秘密がバレそうになるのだ。
「なにもしてないよ!ちょっとそこまであそびいってくるだけ!」
焦ると語尾が強くなってしまうが、淑女たる者平常心を保ちつつ家を出た。
「あのぎこちない歩き方と言い方で隠してるつもりなのかな?」
「ルンちゃん祠近くで他の子と小さな家作ってたよ?」
「まぁ、それならおやつの用意しておこうかしら。」
何とかバレずに秘密基地へと戻ると他の4人がすでに戻ってきていた。
「お母さんに木箱使わせてもらいたいって言ったら、これくれたの。」
「僕は簡単に作ってきた。」
「僕は薬草採るのに使いたいって言ったら、これ貸してくれた。」
「わたしもおかーさんにこれかしてほしいっていったら かしてもらえた。」
なるほど、貸してと言えば良かったのか。
そして完成した秘密基地のお祝いをしようとした時、雨が降り出した。
小雨程度ならば凌るが、これは無理だ!
大振りの激しい雨に5人は逃げるように家へと帰った。
閲覧いただき、ありがとうございます。
誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。
また一段と色々な事が発展していく予定の
第7章となります。




