3、いよいよ、いよいよ!
恒例行事が終わっても雪がまだ残る春の1月中旬、いよいよその日がやってきた。
ナールさん達ラズラ商会の人が操る馬車に乗って他の地域からの村人が、続々と到着した。
模範村始動の時がきたのである。
淑女としては、おもてなし精神が疼いて仕方ないのだがライを始め警備隊4人に周りを囲まれ動けないのだ。
「いい?ルンちゃんは動かなくてもだいじょーぶなんだからね?」
エリンの子供を諭すような言い方でよくよく言い聞かされてしまった。
だがしかし•••ウズウズ、ウズウズ...
あぁ、私ならば着いた人達を宿泊所にすぐ案内してお茶でもてなしているのに!
およ?あの人はトイレかな?モジモジしてるではないか!案内を誰かー!
「エリン、これは着いていって一緒にやった方が良いかもしれないよ?」
「はぁ、リックそうよね•••。ほぼ動いてるようなものだけど•••」
ウズウズし過ぎて怪しげな動きのまま、少しづつ近づいていた事に気づかなかったが、エリン達の会話で我に返り
「•••••••ふんふふーん♪」
「ルンちゃん、私たちも一緒に行くから"おもてなし"だっけ?やろうか。」
自然な誤魔化しに騙されたエリン達の言葉を聞いて、激しく首を縦に振り過ぎて頭がクラクラするほど賛同した。
「こちです! なかどーぞ!!」
宿泊所への呼びかけ係に任命されたのは警備隊の中でも小さい組、私とメルト。
宿泊所でのお茶出しはエリンとライ。
リックはどうしてるかって?
「これはこうやって使うんだよ!
こっちはね、こうやってー•••」
マシーン係をしている。本人希望で。
兎にも角にも、初回は4つの村から総勢25名ほどが訪れた。
宿泊所はそれなりの大きさでまだ余裕はあるけど、流石にいきなり40名とかの大所帯でなくて良かった。
そして、ナールさん曰く研修生の村人達は村へと来た瞬間から驚いていたらしい。
「なにに おどろいたの?」
「臭いだよ。それに清潔なこの村人達の姿にもね。まぁ、予想していた事だけどね。」
すっかり日常となっていたから忘れていたが、そうか。
湯船に浸かる事やあの肥やしの臭いはやはり共通の悩みだったのだな。
確かに人間の五感のうち、嗅覚ほど不快に思うものはないと思う。
健康と衛生面を考えると、いつか他の村もダムに似た仕組みが出来ると良いなぁ。
そんな希望にも似た事を考えていると、ナールさんが
「今回の訪問で、ダムが1番の関心事になるかもしれないね。」
それだ!ダムの仕組みを勉強して、自分の村に戻ってから作れば良いじゃないか!
私のモットー頑張る者は救われる!
そうだそうだ!益々未来が明るくなったのではないだろうか?
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