5、幼女の復活
寝込んでいた数日間、新たに住人となった3人が毎日お見舞いに来てくれた。
今日は○○に行った!
今日は畑で手入れの手伝いをした!
お父さんとお風呂入った!
などの話を笑顔で代わる代わるしてくれていた。
この子達に気を使わせてどうする!
立派な淑女までの道のりが数歩下がって、スタート地点に逆戻りしてしまったではないか!
よしっ、ふんぬっ!
気合と勢いをつけ起き上がり、ご飯を盛り盛り食べる姿に皆が笑顔になった。
そしてまずやる事は
「しんぱいかけて ごめんなさい」
そう、謝罪だ。
「ルンちゃんが元気でいてくれるなら、それで良いのよ」
「ルンちゃん、あの村踊りを新しく来た3人にも教えてあげようね!」
「ルンが寝込んでる間、クッキーがポケット一杯に貯まったぞ!」
と、母以外は何とも微妙な激励を受けた。
そしてずっと黙っていた父が
「ルン、確かにルンの提案した事でこの村はかなり住みやすくなった。
だけど、以前はこの環境でも協力して農作物を作って暮らしていただろ?
それでも子を捨てるなんて事はなかった。
つまり、自分達が食べていける分だけなら金銭的には苦しいけど何とかなるもんなんだ。
ここよりも厳しい環境ではそうもいかない場合があるのは、確かだがな。
ルンは自分の責任と思っている事だけど
村をどうにか維持させる為の働きかけは領主に嘆願するなりして、村々でするべき事なんだよ。一村人に過ぎないルンが責任を感じる必要は、ないんだよ•••」
この言葉に、はっとし気がついた。
違う世界の記憶があるけれど、何か使命がある訳ではない。
なのにダムが出来上がり生活が楽になり、舞い上がってしまった。
私の力が皆を幸せにしている•••と。
今までだって、皆の力があってこそなのに。
「あい、ありがとう•••ござま••••す?」
父の言葉にうるうるとさせて目線を上げると、母が父を床に倒し片腕を固めていた。
その姿を見て、お礼が途中で疑問になってしまった。
「あなた、折角ルンちゃんが笑顔になったのに、また涙流させるつもりですか?」
いや、そんなつもりは•••!と技を決められ情けない声を上げる父を見ながら
目をしぱしぱし、あれなんだっけかな•••
確かプロレスなるものであったような•••
「わぁ、母さんの脇固め久々に見た!」
そうそう!そんな名前!•••って、えっ!?
「わきがため?」
「そうそう!母さんは村の女性の中では一番強いんだよ!」
父の言葉に感動した私の心はすっかり枯れ果て、やっぱりこの村人達は"只者じゃない"と改めて痛感した。
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