2、幼女の閃き①
この大会の開催を提案したのは幼女ルン。
ルンは優しくも頼もしい父ダン・穏やかで何事にも動じない母シャル・しっかり者で面倒見の良い長兄ダル10歳・やんちゃだけど正義感の強い次兄ジル7歳の5人家族だ。
彼女はそれこそ産まれた時から前世と言うものなのか、こことは違う記憶を持っていた。
だからこそ頭の中の記憶と現実の生活水準の違いに衝撃を受け、もっと皆で幸せになる為の村改善計画を齢2歳で決意した。
だが幼女と言う事に加えこの世界は、記憶上の世界とは違い電力なんて物はなく、例えて言うならば中世ヨーロッパに近い。
王族がいて、貴族・騎士・商人・庶民がいる。良くある転生物語のように、魔法がある訳でもない。動力はほぼ人の手である。
その様な世界で、言わば僻地とされるここは当然王都よりも生活の基盤が脆弱で問題の山が盛り盛りとなり、早々と暗礁に乗り上げた。
そんなある日、幼女故に何も手伝いの出来ないルンは母に抱かれ村を散歩していた時村の外れに自然災害により崩壊したと思われる山肌を見て、閃いた。
自然の恩恵に与る反面、自然の脅威に晒されているのなら、その脅威を味方につければ良いじゃないか!
雪による雪崩や大雨による地滑りを防止するものがあれば…そう、水を堰き止めて水量を調整する記憶の中のダムのようなもの。この考えを拙い説明で両親にしたところ…
直ぐに食い付き、村人達が綿密な計画を立て実行してからが早かった。
山の中腹にある崩落跡地をそのまま溜池として利用する為に加工
地滑りで落ちてきた巨大な岩や砂利に加えこの地特有の粘土を利用しての堰作り
溜池から出る水は滑り台のような傾斜に整えた水路の上を通り下流へと合流させる
全ての工程を驚異の一年と半年で完成した。
そして仮ダムが出来てからの村は瞬く間に変化していった。
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誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。
物語がゆっくりなので、連投してます。