2、いざ、王都へ②
村を出発して数時間、始めはワクワクと初めて目にする景色を楽しんでいた。
だが、今猛烈に闘っている。
睡魔と言う名の悪魔と。
「ル、ルンちゃん眠いなら寝ていた方が良いよ?
白目になって体がグワングワン揺れてるから、流石に恐いよ••••」
「ねないー•••、ねたく、ない•••!」
自分至上最大の死闘を長時間したのではないかと思うも、意識はホワホワ。
眠りに落ちる寸前の何と気持ちの良いことか!
そして気がついた時にはーー
「ルンちゃん起きて?お泊りする所に着いたわよ?」
ここはどこ?私は誰状態。
意識が刈り取られた間に野営地に着いていただなんて•••••!
見た事もない建物や町の人々を観察する楽しみの時間は、あっという間に過ぎ去っていた。
「だから寝といた方が良いよーって言っていたのに。
町に着く頃ルンちゃんに声かけたんだよ?
それでも起きないから、僕が代わりに良く見ておいたからね!」
ジル兄よ、優しさをありがと、う•••!
そして今夜は別な意味で寝れる気がしないのは、きっと気のせいではないだろう。
さっき起きて後3時間ほどで就寝。
いやこれ確実に無理だ。
だが今日こそしっかり寝ておかないと、今度は王都を見る事なく帰りになってしまう。
そんなの辛すぎる•••
こんな時はメルト達のくれたサクサククッキーを食べて、気分転換するにかぎる。
「ん?ねんどばんはいってる。」
籠を開けると、粘土板が1番上に置かれた状態で入っていた。
そしてその粘土板には"クッキーに眠くなりやすくするケソウの葉を乾燥したのが入ってるから、寝る前に食べてね"との文字。
何て友思いな子達なんだ!
そして、何て先見の明がある子達なんだ!
よし、私が独占していた紳士淑女の称号を4人に授けよう。
皆んなに粘土板を見せて、クッキーをそれぞれ1枚づつ手渡した。
人と分けられる私は、偉い。
何も"1人で全部食べないよね?""食べたいなぁ"との視線に負けた訳じゃない。断じてない。
翌日クッキー効果かぐっすりと寝て、元気よく起床した。
あれか、精神安定剤的効果か?
それとも呪いの類いか?
どちらにせよ、眠れたおかげで今日の王都見学は睡魔と闘わずにすみそうだ。
「このクッキー凄いね!僕ぐっすり眠れたよ!!」
ぐっすりと眠れたのは私だけではなく、他の人もだったようだ。
その効果に感心と同時に恐怖してしまったのは、言うまでもない。
「でもこれなら馬車の揺れに酔わなくてもすみそうだよ!
ルンちゃん帰りの分も残ってる?」
およ?そんなに揺れるものなのか??
私は何の外的要因を一切受ける事なく意識を刈り取られていたお陰で、馬車酔いなぞせずにすんだけど•••
「お尻は痛いし馬車はガタゴトするから、立っているか空気に当たっていないと吐きそうだったんだよ•••」
何て末恐ろしい事を言うのだろう。
馬車と言っても幌馬車のようになっていて、荷台の中に申し訳程度に備え付けられている木イスがあるだけ。
確かに走行中は辛いかもしれない•••
取り敢えず残りを数えて、まだ余裕ある事にホッとした。
さて、今日はいよいよ王都に着く!
待ちに待った王都見学楽しみだー!!
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