7、結婚証明と恐怖の未来
この世界の婚姻は、町などにある教会で結婚承諾書と呼ばれる紙を貰い、その書面に神父様と両者のサインをなしたら成立する。
サインをした結婚承諾書は、その地の教会から領主もしくは国へと提出される。
ただしこれは世間一般であって、貧しいところではこの限りではない。
まず町まで行けない村人達もいるのだ。
そんな人達はどうしていたかと言うと、ナールさんのような行商人に頼み、教会より見習いではあるも修道士が派遣されてくる。
その為、合同で結婚する村人達が多いのだ。
「東側の人達は、もしかしたら•••
夫婦になったことすらどこにも知らせられていないのかな?」
ボソッと言ったライの言葉にハッとした。
そもそも名前すらなかった人達もいたくらいだから、サインなんて書けない。
それに管理されていない村では領主に承諾書を提出すら出来ない。
「今はどうもできないけど、いつかふうふだってしょうめい できる日がくると良いね。
それでおいわいしてあげたいな•••」
いつか、管理者が置かれた新体制になった時の未来に思いを馳せ呟いていた。
ところでナールさんはと言うと
「アリスさんが•••、次来る時には家財道具一式持って来ると•••。
まだ承諾書も書いていないからって言ったんだけど"そんな物どうとでもなります。それよりも、ナールさんは私をお嫁に貰う、貰わないどちらなのですか!?"って。
その勢いに負けて、貰わせて頂きますって言ってしまったんだよね•••」
何とも情けない報告を私たちちびっ子にしていた。
「アリスさんと結婚したくなかったの?」
そんな情けないナールさんの相談を真剣に聞く6、7歳児。
「いや、その、有難い事なんだけど、僕は出掛ける事が多いから、アリスさんと一緒にいられる時間があまりないのは、申し訳ないなぁとか思ってしまってね•••」
そしてその6、7歳児に真剣に相談する情けない大人。
これ、どうなのよ?
そして確信する。アリスさんを逃したらナールさんは一生結婚出来ないだろうと。
仕方ない。背中を押してあげよう。
「いっしょうさみしい どくしんせいかつ。
アリスさんのことをウジウジとかんがえながらこどくに たえるせいかつ。
アリスさんのことばがうれしいのに ウジウジしすぎて ふられたあげく、ショックでたちなおれないせいかつ。
ジメジメ、ウジウジとカビはえるせいかつ。
じぶんのしょうらいだけは 何にもおもいつかないせいーー」
「うわーーー!すみません、ごめんなさい!
そんなあり得る寂しい想像させないで下さい!」
まだ背中を突いた程度なのに。
消化不良じゃないか。
「ルンは容赦ないなぁー
こう言う事は、もう少し柔らかく周りから締め付けていった方が良いと思うよ?」
ライ君、何だその真綿で窒息させるやり方は!
いやいやいや、それの方が何倍も苦しいと思うのは私だけだろうか!?
涙目でやや震えてるナールさん。
うむ、私だけではなかったようだ。
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