6、さらば、独身貴族
忙しなくも充実した日々を過ごしているうちに、夏の3月に入った。
「もうすぐーきらきらお菓子〜♪」
王都へと行く日が近づくにつれ、私のテンションが益々上がっていた。
思わず即席の歌を歌ってしまうほどに。
「ルンちゃん良いなぁ〜
私も今度連れて行ってもらえるように頼んでみようかなぁ。」
おっと、嬉しくて1人浮かれていたが、行けない子もいるのに配慮に欠けていた。
「つぎはみんなで行けるようにナールさんにたのんでみよう!」
「そうだね!次は皆んなで行きたいね!」
今はこの村以外の事で忙しいナールさんに、そう簡単に次の約束を取り付けることは難しいかもしれないが。
塔風車の建設も順調に進んでいるようで、秋の1月頃には完成する予定だそうだ。
そしてマヌル油の工場も出来上がってきているらしい。
その間にマヌルの実から油にするまでの工程を学びに、別の場所へとまた研修に行っているようだ。
青竹村の人達は、すでに色々な竹細工を作ってギルドへと卸しているらしい。
その中にはもちろん日除けも入っている。
怖いくらい順調に進む事柄。
何か悪いことが起きるのではないかと、やや警戒してしまう。
そんな些かビビリな心情に陥っている時、村の入り口からナールさんの御す馬車が入ってきた。
「だれかのってる?」
ナールさんの隣に、小柄な女性が乗っていた。
もしかして•••
ナールさん••••!?
「さみしくかわいそうな どくしんせいかつをおくるナールさんのお嫁さん?!」
「いや、ルンちゃん•••
別に僕は寂しくも可哀想でもないからね!?
ゴホンッ、えー、うちの両親から•••その、お、お見合いのお相手として連れて来て頂いた方で、アリスさんです。」
ナールさんの紹介でアリスさんと言う女性をまじまじと見てしまった。
見た目は紺色の髪色に同色の瞳、やや下がり目のおっとりしていそうな女性。
対するナールさんは深紫色の髪色にやや小さめの黒の瞳。笑うと目がなくなる感じは、優しそうだがどこか抜けていそうに見える。
もし無事結婚したら、おっとり天然夫婦になるのではないか?
と、やや心配してしまったが
「初めまして、この度はナールさんとの素敵なご縁をいただきました、アリスと申します!
ナールさんの住むこの村へ向かうとの事で、一緒に同行させて頂きました!
どうか末長く、宜しくお願い致します!!」
おぉう•••!見た目に反して随分とハキハキと話す人だったようだ。
それにしても、すでに嫁いだ花嫁の如き挨拶にナールさんはタジタジ。
今からお嫁さんの尻に敷かれるナールさんが見えるようだ。
頑張れ、ナールさん。
閲覧いただき、ありがとうございます。
誤字・脱字等ありましたら都度訂正していきます。




